2001年に劇場公開された、スタジオジブリ制作アニメーション映画『千と千尋の神隠し』。10歳の少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、トンネルから八百万の神々の世界へ迷い込んだことで始まる物語です。
宮崎駿が監督を務めた本作は、日本国内における日本映画の歴代興行成績ランキングでも第2位※と、高い人気を誇っています。
※参考:日本映画産業統計(日本映画製作者連盟)2024/10/09時点(※中略)
このように、『千と千尋の神隠し』は海外でも大きな話題になることがしばしば。そこで今回は、本作への海外の方の反応を紹介します。
■『千と千尋の神隠し』が史上最高のアニメ映画である理由
「なぜ『千と千尋の神隠し』が史上最高のアニメやアニメ映画の一つと考えられているの?」
日本のアニメーション映画『千と千尋の神隠し』の評価が高かったので、最近観てみました。
楽しめましたし面白いと感じましたが、何が特別なのかはわかりませんでした。あまりアニメを見たことがないので、何を見ていいのかわからなかったのかもしれません。
『千と千尋の神隠し』は、「史上最高の映画1001作品」スレッドで10位になりましたよね。誰か理由を説明してもらえますか?
アメリカ合衆国の掲示板型ソーシャルニュースサイト「Reddit」にこのような疑問が投稿されると、さまざまなコメントが寄せられました。
アメリカの方は、『千と千尋の神隠し』のどのようなところに魅力を感じているのでしょうか?一部抜粋して紹介します。
子どもの描写がリアルだよね
多くの映画では、子どもたちが本当の子どもらしく描かれることは少ないですが、『千と千尋の神隠し』では、子ども特有の複雑さや矛盾、利己的でありながら無私な一面、忍耐強さや煩わしさなど、現実の姿がリアルに表現されています。
それだけでなく、子どもたちの学ぶ意欲や成長しようとする姿勢も描かれています。
さらに、主人公が成長し、内省的になりながら観察力を高め、さまざまな権力にどう対処するかを学んでいく姿も印象的です。
これは多くの他の映画ではあまり見られません。
『千と千尋の神隠し』は、非常に幻想的な世界観を持ちながらも、同時に最も現実的な作品の一つでもあります。この映画は、「子どもである」ということがどういうことかを、深く理解している作品です。
洋画にはない独特なストーリー展開がイイ!
ストーリー展開が独特で、どの洋画にも似ていないから特別なのだと思います。
この映画は、大人へと成長していく過程や、強さ、忍耐力についての物語であり、さらにとても個性的で面白い妖怪たちが登場します。
アートワークは美しく、音楽も本当に素晴らしいです。
欧米圏作品よりも数十年先を行っていたね
個人的には、この作品が西洋のアニメーションの数十年先を行っていると感じます。
豪華なビジュアル、共感できるキャラクターの成長、そして東洋(湯屋やそれを利用する神々)と西洋(千尋の両親の変身はホメロスの『オデュッセイア』を思わせる)を融合させた豊かな物語が描かれています。千尋の旅は『不思議の国のアリス』のようでもあります。
さらに、必要に応じて暗いテーマにも踏み込み、子どもたちの短い集中力を考慮せずにストーリーを進める勇気も持っています。(※中略)
観客に考える余地を与える「成熟した映画」なんだ
私にとって、この映画は特別な魔法のような存在です。どのシーンにも見るべきものがあり、それは非常に奇妙で、心に残ります。
特に、列車のシーンが『千と千尋の神隠し』がなぜ素晴らしい映画なのかを示していると感じます。
会話もない、電車の中のわずか2分のシーンですが、この場面ではこれまでの1時間を振り返り、どれだけのことが起こったのか、千尋がどのように成長したのかを考える時間が与えられています。
観客に考える余裕を与えるほど成熟した映画は多くありません。その点において、この作品は非常に優れています。
この映画は、観客に何かを押し付けることなく、今まで見たことのないものを本当に成熟した方法で提示しています。
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https://trilltrill.jp/articles/3820422