新型コロナウイルスによる半導体不足で、車社会の沖縄県内でも新車の納期が大幅に遅れている。スポーツタイプ多目的車(SUV)など人気の車種では、予約から「1年待ち」も起きており購入者から「買ったのを忘れてしまう」との声も。新車を買い替える動きが鈍ると下取りに出す車が減り、結果として品薄になる中古車は価格が急騰している。「産業のコメ」と呼ばれる半導体の不足で、中古車と軽の保有割合が高い沖縄の自動車市場にも余波が広がっている。
■納車めど立たず
県内の新車販売台数は6月から、4カ月連続で前年同月を下回っている。販売店からは「コロナ禍の収入減に加え、納期が見通せないため販売しづらい」との声が上がる。
那覇市の女性会社員(32)は、今年5月が車検の期限だった。この機に買い替えようと、SUVの新車を昨年11月に契約した。「時間はかかるが半年後には納車されるはず」と説明を受けたが、車検の時期が近付いても届かない。
やむなく6月から、販売店が手配したレンタカーに乗っている。1年がたった今も納車のめどすら連絡がない。「自分が車を買ったことも忘れるくらいの遅さ。レンタカー代を自分で払うのか販売店が負担するのかの説明もない」と困り果てている。
県自動車販売協会のデータで、9月の新車販売台数は2575台。前の年の9月と比べると38・7%減少し、減少幅はここ1年で最大。コロナ前の2019年比では45・7%減だった。
■伸び悩みの理由
伸び悩みの理由は何か-。新車販売店で働く30代男性は「コロナの不景気だけではない。半導体と部品の供給遅れで納期が読めず、商談でもはっきりと伝えられないことも影響している」と話す。
他のメーカーの社員間で共有する情報でも、納車まで各社3~4カ月かかっており、人気車種の1年待ちもあった。中古車を選ぶ客も増えているという。
半導体は自動車やパソコン、家電などを制御する電子部品として幅広い製品に搭載され「産業のコメ」とも呼ばれる。不足の原因は新型コロナによるリモートワークの増加でパソコン需要が高まり、供給が追い付かないからだと指摘されている。
加えて自動車の部品を作る東南アジアで感染が拡大し、部品調達が困難に。自動車国内大手8社は、来年3月期に287万6千台を減産すると発表している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e69622fea4c590cb5d96fa0f23d04a84eadb188