この15年、日本の若い女性にとって、ファッションの手本は韓国だった。ところがいま、お洒落に敏感な20代女性の間で、これまで一度も“お手本”にされてこなかったアジアの国々のブランドやインフルエンサーに注目する動きが出始めている。芝浦工業大学の原田曜平教授は「日本の若者がこの地域のファッションをお手本にするのは、20年以上の若者研究で初めてだ。韓国系よりも“マネしやすい”ことが支持されている大きな理由だ」という。若者のファッションの手本は、どこへ――。
■若者の関心が「東南アジア」へ向かっている
Z世代の女性のファッションは、長らく海の向こうに手本を求めてきました。この15年ほどは、ずっと韓国でした。
ところが、その視線が、これまで一度もなかった方向に動き始めています。
ベトナムと、タイ。いわゆる「東南アジアトレンド」です。感度の高い女子大生や若いOLさんたちが、ベトナムやタイのインフルエンサーやブランドを参考にし始めているのです。
僕は20年以上、若者を研究してきましたが、東南アジアのファッションが日本の若者のお手本になるのは、初めてのことです。かつて「Look East」という言葉があったように、日本や韓国に憧れる側だったアジアの国々が、とうとうトレンドを生み出す側に回り始めた。これは歴史に残るかもしれない大きな転換点で、とてもエッジーな出来事だと僕は考えています。<中略>
ただ、思い返せば韓流も、最初は一部の感度の高い人たちから始まりました。大人の世代には、正直、見分けはつかないと思います。でも、それは韓流ファッションだって同じで、説明されて初めてわかるものです。「タイトでミニスカートが多いのが韓国系」だとするなら、「ダボっとしていて、フリルがついて可愛くて、でも露出は控えめ」なのが東南アジア系。そういうファッションが、実はいま、少しずつ街に増え始めているのです。
韓国・中国という“真似しきれない憧れ”の間で行き場をなくしていたZ世代が、より身近な手本を見つけた。この変化は、これからの若者向けビジネスや消費トレンドを考えるうえで、見逃せない兆しだと僕は思っています。
原田 曜平
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