1:名無しさん




栃木県那須郡の大麻博物館が刊行している『大麻という農作物』によれば、大麻は「薬用型」「中間型」「繊維型」に分けられる。日本在来種は繊維型で向精神作用はほとんどなかった。用途は衣類のみならず、水に強く、しなやかなことから、布団、茅葺屋根材、凧(たこ)糸、太鼓の革を張る糸、鼻緒、綱、釣り糸、漁網、弓弦、蚊帳、畳の縦糸、漆喰(しっくい)壁、打ち上げ花火や線香花火の火薬など。

ちなみに、現在も七味唐辛子には麻の実が使われている。「日本人の営みを支えてきた農作物」が、なぜ「違法薬物」になっていったのだろうか。

栃木県鹿沼市で野州麻を栽培する農家7代目の大森由久さんによると、もともと日本に「大麻」という言葉はなく、「お」などと呼んでいたが、明治以降入ってきた丈の低い外来種と区別するため、在来の種を大麻と呼ぶようになった。

古くは、棺おけを墓穴に下ろすのに麻紐(ひも)を用い、その紐は、出産を控えた女性に受け継がれて腹帯となり、へその緒は麻糸で切り、お七夜参りには麻を奉納した。さらに核心的なのは、伊勢神宮のお札を「神宮大麻」と呼ぶことに象徴されるように、七五三縄(しめなわ)や祓(はら)いに用いる大幣(おおぬさ)など神の依り代でもあったことだ。大相撲の横綱の綱にも、大森さんらが奉納した野州麻が使われている。

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