米軍のベネズエラ侵攻のもう一つの目的は、中国がベネズエラで構築し、世界に輸出している顔認証技術をもとにした「デジタル監獄」のデータベースを奪取することでした。これは米中対立の視点から、大きな意味があります。 https://t.co/0sH5QR5Trv
— 吉永ケンジ/安全保障ジャーナリスト (@yk_seculligence) January 4, 2026
中国が最も危惧しているのは、単なる経済的損失ではない。マドゥロ氏拘束という大事件の陰で、米軍が手に入れたのは、対中経済競争を有利に進めるだけでなく、中国が国外に輸出してきた治安・統治モデルそのものを揺るがしかねない「宝の山」だとみられている。
米情報関係者によれば、中国が最大の懸念を抱いているのは、中興通訊(ZTE)など中国企業が関与して構築された「祖国カード(Carnet de la Patria)」に象徴される、顔認証と結びついた「デジタル権威主義」の輸出モデルが、米軍の分析対象となる点だという。
祖国カードは表向きには社会福祉プログラム用の配給カードだが、実態は国家による国民監視システムの中核である。カードには個人の生体情報に加え、政治的傾向、SNSでの発言、デモ参加の履歴などが紐付けられている。食料配給や医療、公共交通の利用、さらには就職や教育へのアクセスまでがカードを通じて管理され、政権に批判的と見なされた市民は、生活基盤そのものを断たれる構造になっていた。
この仕組みの技術的基盤は中国にある。中国国内では新疆ウイグル自治区において、2017年以降、顔認証システムと社会信用スコアが結合され、ウイグル族住民の大量拘束や強制労働に利用されてきた。街中に設置された膨大な数の監視カメラがAIによる顔認証で人々の行動を常時追跡し、当局が「問題あり」と判断した人物を自動的に抽出する。礼拝の有無、親族との通話、海外送金といった行動はすべてデータ化され、スコアが一定水準を下回ると、突然連行され「再教育施設」へ送られるケースも報告されている。
中国はこの統治モデルを「成功例」として、ベネズエラを皮切りに各国へ輸出してきた。ジンバブエでは野党支持者の特定に、エクアドルでは犯罪対策を名目に、類似のシステムが導入されたとされる。中国政府は治安維持や行政の効率化を掲げ、顔認証技術や監視カメラ、データ解析AIを一体化したパッケージとして売り込んできたが、その本質は、独裁体制が反対派を効率的に抑え込むための「デジタル監獄」を構築することにある。
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