中国の貿易黒字が史上初めて1兆ドルを突破した。だが、その裏で各地に広がっているのは、売れ残ったEVが野ざらしにされる「墓場」の光景だ。国内で消費できないモノを、採算度外視で作り続け、海外へ押し出す――。この歪んだ成長モデルに、習近平国家主席自身が強い危機感を示している。数字の裏に隠された中国経済の構造的な病を検証する。
■喜びの声どころか、激しい怒りの言葉が伝えられた
150兆円。途方もない金額だ。人類の歴史上、これほど巨額の富を1年間で積み上げた国は存在しない。普通に考えれば、国のリーダーは万歳をして喜ぶはずだ。「我が国の経済は絶好調だ」「世界が我々の製品を求めている」と胸を張る場面だろう。
ところが、中国のトップ、習近平国家主席の反応は違った。
喜びの声どころか、激しい怒りの言葉が伝えられたのだ。習近平氏が地方政府や企業に対して放った「怒り」は、次のように報じられている。代表的な報道を紹介しよう。
「『すべての計画は事実に基づいたものでなければならず、誇張のない堅実で本物の成長を目指し、高品質で持続可能な発展を促進しなければならない』と、習近平氏は先週述べたことが、日曜日に発行された共産党の機関紙『人民日報』の報道で明らかになった。
『現実を無視して無謀に行動し、過大な要求を押し付け、あるいは慎重な検討なしに資源を投入する者は、厳しく責任を問われなければならない』と、習近平氏は中央経済工作会議で述べた」(インドの有力紙・エコノミック・タイムズ「Economic Times, “Xi Jinping criticises inflated GDP figures, warns against ‘reckless’ projects”」12月15日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f7f1e93eafaa602724655ff6ed08a0b77a19bf1
