● 「奇策」とみられた逆封鎖は イラン、中国に大きな打撃に
こう見てくると、トランプ大統領によるホルムズ海峡「逆封鎖」は、イランから中国への原油輸出を止めることが主たる目的ではないかと考えられる。そしてこれは、中国にとってもイランにとっても、極めて大きな痛手となるものだ。
イランがホルムズ海峡を封鎖して以来、通過した船の大部分は中国船籍であることを考えれば、逆封鎖はとりわけ中国経済に莫大(ばくだい)な打撃を与えるだろう。
これはイランにとって微妙な問題だ。イランは中国との経済関係を重視している。しかし、海峡封鎖は中国の利益と衝突する。つまり、イランは最大の経済パートナーの支持を失うリスクを抱えたことになる。
「逆封鎖」は、当初、「奇策」と受け止められることが多かったのだが、実は中国、イランの双方にとって、極めて大きな打撃だったのだ。
中国は、4月12日に、トランプ大統領が「ホルムズ海峡を封鎖する」と逆封鎖を主張した時には「各方面が冷静さと自制を保つべきだ」と述べるにとどめた。
翌13日、中国外務省は「関係諸国は冷静さと自制を保つべきだ」との見解を示した。この声明でもアメリカの行動を名指しで批判することは避け、中東の安定と海路の安全性確保の重要性を強調するにとどまった。
郭嘉昆副報道局長は、記者会見で「各当事者は冷静さと自制を保つべきだ」と語った。
郭氏はホルムズ海峡について「国際貨物とエネルギー貿易の重要な通路だ」と強調した。そして、米国・イスラエルとイランに改めて早期停戦を求めた。
さらに、トランプ氏が12日、イランに兵器を供給する国からの全ての輸入品に50%の関税を課すと警告したことについては、「関税戦争に勝者はいない」と語っている。
● 中国が仲介に乗り出し始めた 停戦、和平交渉にも影響及ぼす可能性
中国が、ホルムズ海峡問題で、イランに対して圧力をかけ封鎖解除に乗り出す可能性があるとの観測はこれまでもあった。
米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース前会長は「米国は、ホルムズ海峡の封鎖とともに、中国やインド、パキスタン、トルコなどイランの主要な顧客が、米国の要求を受け入れるようにイランに圧力をかける戦略を並行すべきだ」と主張していた(注4)。
中国政府が、15日に、ホルムズ海峡の通航を正常化するようイランに求めたのは、実際、その通りの行動といえる。
中国の王毅共産党政治局員兼外相は、イランのアラグチ外相と電話で協議し、ホルムズ海峡について「航行の自由と安全が保障されるべきだ。通航の回復に努めるのは国際社会の一致した声だ」と伝え、航行の正常化を求めたという。
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