最低賃金の引き上げに関する政府目標の取り扱いが、高市早苗政権が今夏にまとめる「日本成長戦略」の隠れた焦点の一つになっている。
石破茂前政権は2020年代に時給を全国平均1500円に引き上げる方針を看板政策に掲げ、昨年の骨太の方針などでは「高い目標に向かってたゆまぬ努力を続ける」と明記。
しかし高市首相は就任以来、この目標を堅持するか明言を避けており、政権内でも意見が割れているからだ。
賃上げは政権の優先事項から後退してしまったのか。
赤沢氏が前政権の成果をアピール
「規模の小さな事業者における賃金上昇が堅調だ。昨年の最低賃金引き上げに政府が本気で取り組んだ結果だ」
5月11日に首相官邸で開かれた経済財政諮問会議。赤沢亮正経済産業相は、石破政権時代の成果を強調すると、「今後も取り組みを続ける必要がある」と賃上げ推進の継続を訴えた。
赤沢氏は石破氏の側近として知られ、石破政権時代はトランプ米政権との関税交渉に当たった経済再生担当相に加え、賃金向上担当相も務めた。
自治体支援などを通じて引き上げを進め、賃上げに「政治生命をかける」とまで公言していただけに、思い入れは強い。
石破政権は、賃上げを重視していた岸田文雄政権の路線を踏襲し、「賃上げこそ成長戦略の要」と位置づけていた。
時給1500円への引き上げ時期は岸田政権が目標に掲げた「30年代半ばまで」から「20年代」にまで前倒しすることも決めている。
最低賃金は労使、学者の代表が審議会で、労働者の生計費や賃金の動向、企業の支払い能力を考慮して決定する。
ただ、政権が実質介入した結果、25年度の最低賃金は全国加重平均で時給1121円(前年度比66円増)となり、現行方式で最大の引き上げを記録。政府が主導する形で賃上げを実現してきた経緯がある。
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