日本企業がナフサ由来の化学品をかき集めている。財務省が28日に公表した4月の貿易統計(確報)によれば、塗料溶剤のトルエンは2025年の年間輸入量の約3倍を確保した。イラン戦争でナフサの供給が滞る中、化学品での代替調達も進めることで事業活動を維持しようとしている様子が浮かび上がる。
ナフサを分解して得られる「基礎化学品」の調達拡大が進んでいることが分かった。品薄が深刻な塗料や接着剤の溶剤に使われるトルエンの4月の輸入量は893万キログラムで、25年の年間実績(304万キログラム)から大幅に増えた。中国からの輸入量が25年平均の77倍に、米国からの輸入量も31倍になった。
プラスチックや合成繊維など多くの化学品の原料となるエチレンの輸入量は3115万キログラムと、25年の3051万キログラムを上回った。米国や韓国からの調達を増やしているほか、ここ2年実績がなかった中国やマレーシアからも輸入している。
ほかの基礎化学品も輸入量が増えた。プロピレンはプラスチックなど幅広い製品の原料で、ポリプロピレンはタッパーなどに使われる。ブタジエンやベンゼンや合成ゴムなどの原料になる。
財務省のデータからは、日本企業が2月末のイラン戦争勃発以降、わずか2カ月で調達網を多様化させた苦労が読み取れる。政府はナフサの代替調達だけでなく、ナフサ由来の化学品の調達拡大を進めることで供給を維持する方針を説明。こうした施策でナフサ由来の化学製品を含む石油製品は年を越えて供給継続が可能との見通しも明らかにしていた。
マクロ経済に詳しい住友商事グローバルリサーチの鈴木将之チーフエコノミストは、中国では景気後退により化学品の在庫が積み上がっていた背景もありそうだと指摘。ホルムズ海峡の開放は見通せず、中東からの輸入量は今後も減る可能性があるとした。代替調達は高単価で買うことが多く、今後もさまざまな品目で進めば貿易収支を悪化させる要因になる。
ナフサの代替調達も進む。輸入量に占める中東8カ国の割合は24年1月以降、多くの月で70%以上を占めたが、4月には30%まで落ち込んだ。一方、輸入量の合計は前月から12%減の約114万キロリットルにとどまっており、そのほかの地域で穴埋めできていることが分かる。
米国からの輸入は25年平均から3.6倍の約27万キロリットルになったほか、アルジェリアからも40倍の13万3000キロリットルが輸入された。少なくとも直近2年ではほとんど取引のなかったノルウェーやパプアニューギニアからも計3万7000キロリットル調達していた。
三井化学の市村聡社長は27日、7月以降のナフサを分解するクラッカーの稼働率は8割超えが見通せるとした。これまで多用していなかったスポット(随時契約)市場でのナフサ調達に一定程度のめどがついたことが理由の1つだとし、調達源の「選択肢は結構ある」と語っていた。
貿易統計は速報の後に細かい国別や品目別の詳細が確報として公表される。ブルームバーグはナフサや石油製品、化学品についてホルムズ海峡やその内側のペルシャ湾を囲む国々からの調達状況や、その他の国や地域からの代替調達の状況を調べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/39c531470a42d42c1140ad1975667e6a55657f63
