「当社の置かれた状況に対し、CEOとしてかつてないほどの危機感を持っている」――。加工食品大手・日清食品ホールディングス(以下、日清HD)の安藤宏基社長CEOは11月、アナリストなどに向け切迫したメッセージを投げかけた。
同月、日清HDは2026年3月期通期(国際会計基準)の業績予想を下方修正した。売上高は期初計画から2.2%減の7920億円(前期比2%増)、コア営業利益(営業利益から新規事業にかかる損益と非経常損益としての「その他収支」を控除した値)は18.1%減の685億円(同18%減)に見直した。
■屋台骨のアメリカで苦戦
最大の誤算は本丸の即席麺事業だ。とりわけアメリカの苦戦が大きな打撃となっている。
日清HDは、米州やアジア、欧州など世界で「カップヌードル」などの即席麺を販売している。連結のコア営業利益では約半分を海外が稼ぎ、その約4割を米州が占める(25年3月期実績)。アメリカは米州の主要エリアで、海外事業の屋台骨だ。
だが、アメリカでは前期の後半から不調が続いており、今上期(4〜9月期)の販売数量は前年同期比で10%以上減少した。販売量が多く、比較的安価な「ベース商品」が特に振るわず、米州全体のコア営業利益は同51%減と大きく落ち込んだ。<中略>
■高価格帯では韓国勢が台頭
高価格帯品でも、日清HDは存在感を示せていない。ベース商品の需要が停滞する中、アメリカの即席麺市場の成長を牽引しているのは、簡便性や特徴的な味などでほかの商品と差別化された高単価な「プレミアム」商品だ。
このカテゴリーをリードしているのが、近年アメリカで勢力を拡大している「辛ラーメン」を看板商品とする農心や三養食品といった韓国系企業。辛さを追求した商品などを武器に、K-POPアーティストを起用した広告やSNSを通じて順調に需要を開拓している。価格が高くても価値があれば買うという層や、流行に敏感な若年層から支持されている。
日清HDも、高価格帯品を積極的に投入し収益性の向上に努めてきたが、競争力のある商品を投入できていない。挽回に向け、下期は新商品の投入やアメリカでの組織改革を急ぐ。26年度以降は新たな主軸となるブランドを育成すると同時に低収益商品の終売も行い、利益を回復させていく構えだ。
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