中東がきな臭くなっており、これが物流に大きな影響を与えています。
ずいぶんご無沙汰ですが「上海コンテナ運賃指数」(SCFI)を見ると以下のようになります。
https://money1.jp/wp-content/uploads/2024/06/sozai_5264_mg.jpg
直近05月には急上昇して3,000を超えました。
こうなると――韓国の輸出企業に大きな影響を与えます。そもそも韓国は製品の輸出で食べている国なのに、大手海運企業と呼べるのは『HMM』しかありません。その『HMM』も負債を積みすぎて売却騒動になっています。
これが島嶼国家として生き、海運を大事にしてきた日本との大きな違いです。
船賃が急騰してきたので、またコンテナ船がない!――となっています。本件を報じた『ソウル経済』の記事の一部を以下に引用してみます。
(前略)
韓国のある物流仲介(フォワーディング)業者は最近、貨物を積載する船舶を探すのに日々苦労している。
外国船社の船舶を確保するのが至難の業であるためだ。
業界のある関係者は、「外国船社は、韓国より物量がはるかに多い中国に集まることが多い」とし、「国内業者と船積み契約まで結んでおいて、後で一方的にキャンセルする事例もしばしば発生する」と不満を漏らした。
物量が多い中国が“上乗せ”までしてコンテナ船を独占していくという意味だ。自動車専用運搬船が不足してコンテナ船で車両を輸送していた完成自動車業界は、最近ではコンテナ船さえも入手が難しいと訴えている。
(後略)
⇒参照・引用元:『ソウル経済』
https://www.sedaily.com/NewsView/2DABKCKJ6Z
自動車を輸出する企業がコンテナ船を確保するのも難しい――と嘆き節が出ています。
実は、コンテナ船を手配している海運会社にも都合があります。韓国がスルーされているのです。海運会社からすると、コンテナ船にたくさん荷物を積める港を優先して船を手配します。
ところが、韓国に出荷港では取り扱い荷物の量が減少しているのです。
2023年末時点で韓国を代表する釜山は、コンテナのスループットが2,315万TEU(TEU=20フィートクラスのコンテナ1個)でした。釜山は7位に転落です。
1位の中国「上海」は「4,916万TEU」ですから、釜山は上海の半分未満ということになります。上海にコンテナ船が押し寄せるのも当然のことです。
これは『ソウル経済』も報じていますが、2024年01月、世界2位の海運会社であるデンマーク『MAERSK』と5位のドイツ『Hapag-Lloyd』が「Gemini Cooperation」と呼ばれる新たな長期共同運航に関する契約に署名しました※。
2025年01月末で、現在のOcean Network Express(ONE)、HMM(韓国)、Yang Ming(台湾)と構成する「THE Alliance」から
離脱することになります。
韓国の釜山港は主要ハブ港から除外されます。
※プレスリリースによると――「Gemini Cooperation」は、両社合わせて約290隻・340万TEUのコンテナ船隊
(Maersk60%、Hapag-Lloyd40%)を擁し、アジア/北米西岸、アジア/北米東岸、アジア/中東、アジア/地中海、
アジア/北欧州、中東・ インド/欧州、大西洋の7航路で、26サービスを提供。
基幹サービスで所有・管理する積み替えハブを中心とする専用シャトルサービスネットワークで補完、
そのうち欧州で14、中東で4、アジアで13、メキシコ湾で1のシャトルサービスを実施する――となっています。
――というわけで、船賃は上がるわ、物流量が減って韓国の重要度も下がるわで大変なのです。
https://money1.jp/archives/128522