難問ABC予想は証明されたのか 論文発表から13年、論争は迷宮へ
興奮の始まりは、2012年8月30日だった。ABC予想の証明をうたう英語の論文が、突如インターネットに公表された。英紙は「世界一難しい数学の問題がついに陥落した」と報じた。論文を書いたのは望月新一氏(56)。京都大学数理解析研究所の教授に32歳で就いた天才肌の数学者だった。
1985年に提案されたABC予想は、整数の根幹に切り込む「最も重要な未解決問題」と注目される問題。だが、望月氏が証明に用いた「宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論(IUT理論)」は難解だった。「エイリアン」「劇場」などの独自の数学用語にあふれ、理解者は当初わずか3人。「どこが分からないのかさえ分からない」と答える数学者もいた。
2015年、英国で100人近くが集まる勉強会が開かれたが、「聴衆は迷子になった」(参加者)。「理解できる形での書き換えが待たれている最も悪名高いのがABC予想の証明」との声も聞かれた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/211f173062b05142c9e5102a10e1fc540d273032
