妹尾昌俊教育研究家、学校・行政向けアドバイザー
学校の先生がとても忙しいことは、ずいぶん知られるようになった。小中学校の教員が世界で一番長時間労働であることは、OECDの調査でも、わかっている。だが、背景を正確に把握している人は、それほど多いわけではない。
「先生たちは、どうして、こんなにも忙しいのですか?」
「学校は遅れていたとはいえ、IT(ICT)の導入も多少はしているでしょう。昔はプリントづくりや成績処理もほとんど手作業でした。なのに数十年前と比べて明らかに忙しくなっている。なぜ?」
こういう質問を、マスコミの方や教育関係者からよくいただく。複雑な背景、経緯があるので、ひとこと、ふたことでは説明しづらいが、いくつか踏まえておきたいことを、今日はお話ししたい。
※もちろん、学校種や学校ごとに違いはあるが、今回はおおよその共通点について述べる(例:小学校と高校ではずいぶん多忙の要因は別だ)。
■いじめ、貧困への対応、インクルーシブ教育、外国人児童へのケア、個別最適な学びの充実、道徳教育などなど。
最初に、最近出された文科省のある文書の一部を紹介しよう。
学校を取り巻く状況については、いじめ・不登校などの生徒指導上の課題への対応や貧困・虐待などの課題を抱えた家庭の児童生徒等への対応、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえた発達障害のある児童生徒等を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応、外国人児童生徒等への対応、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実と主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、道徳教育の充実、小学校における外国語教育、一人一台端末環境を前提としたICT・教育データの利活用、STEAM 教育等の教科等横断的な学習の推進、進路指導及びキャリア教育への対応、学校安全への対応、幼児教育と小学校教育の接続、小中一貫教育及び中高一貫教育等の学校段階間接続等への対応、保護者や地域との連携・協働体制の構築などが今日的に求められている。変化し続ける社会や学校現場からの要請に的確に応えられるよう、これらの変化に対応した教員等の資質の向上が求められている。
出所)文科省「公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針(改正案)」より引用
いやもう、一文が長すぎでしょ?(最初に引用した文は約350字なので、原稿用紙1枚近く埋まりそう。)
まあ、文章のわかりやすさは横に置いておくとしても、ここから見えてくるのは、これほど学校の先生が扱っているものは多種多様、多岐にわたるということだ。よく「昨今、教育課題は複雑化し・・・」という表現は決まり文句のように出てくるが、複雑を飛び越えて、怪奇なことになっている。
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20220730-00307938
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