東京電力ホールディングス(HD)と中部電力が折半出資するJERAは31日、同社が保有する火力発電所9基を廃止したと発表した。合計出力は383万3000キロワットで、原子力発電所4基分の出力に相当する。設備の老朽化で維持費用がかさみ、投資回収できないと判断した。夏と冬の電力需要期に向け、安定供給への懸念が募る。
廃止するのは原油を燃料とする大井火力(東京・品川)1~3号機、液化天然ガス(LNG)を使う横浜火力(横浜市)5~6号機と知多火力(愛知県知多市)1~4号機の計9基。全て2016~17年から計画的に稼働を止めていた。
いずれも1960~70年代に運転を始めた。稼働開始から約50~60年たち設備が古くなっていた。再稼働するには時間もコストもかかると判断し、廃止を決めた。跡地利用は太陽光発電所の建設を含め、地元自治体などと協議して決める。
JERAは22~24年度に横須賀火力(神奈川県横須賀市)や武豊火力(愛知県武豊町)、姉崎火力(千葉県市原市)、五井火力(同)の計9基の設備を更新する。出力は計666万キロワットで、今回廃止を決めた発電所の合計出力を上回る。すべて動くには2年程度かかるため、すぐに供給力を増やせない。
電力需給は綱渡りの状態だ。3月16日の福島県沖の地震が起きた際には、東日本の一部の火力発電所が停止したため電力供給が細り、一時200万戸超の停電が起きた。22日には真冬並みに気温が下がり、暖房需要が急増したため、政府は初の「電力需給逼迫警報」を出した。東電や東北電力は企業や一般家庭にできる限りの節電を要請した。
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