PUT(Persons Using Television)という用語をご存知だろうか。これは「総個人視聴率」という意味で、ビデオリサーチが調査する世帯のうち、どのくらいの人がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたのか、その割合を表す。6月第3週の週間PUTは、なんと史上最低を記録したという。一体、何が起きているのか。
デイリー新潮は5月17日配信の「綾瀬はるか、上野樹里、柴咲コウ……豪華キャスティングの春ドラマが揃って大苦戦のワケ」で、4月の月間PUTが過去最低を記録したと報じたのだが、さらに下がったということなのか。民放プロデューサーは言う。
「実は4月頃から、週ごとのPUTが発表されるたびにワースト記録を更新し続けているんです。6月第3週は、全日(6~24時)、プライム(19~23時)、ゴールデン(19~22時)のPUTがすべて史上最低を記録し、コアPUT(13~49歳の男女)でも、全日(ワースト2位)を除き、プライム、ゴールデンで最低となりました」
個人視聴率の調査が始まったのは2020年。たった2年で史上最低と言われても……。
「それ以前の世帯視聴率の頃は、HUT(Households Using Television)といって、総世帯視聴率でした。当時は今より確実にテレビが見られていた時代ですから、史上最低と言って間違いないと思います」
やはり“テレビ離れ”が加速しているということだろうか。
テレ朝念願の三冠王
「昨年は東京五輪が開催され、近年では稀に見る高視聴率を記録しました。その反動もあると思います。さらにTVerでは、この春から全局同時配信が始まり、見たい番組の時間に家にいる必要がなくなった。それに加え、最近は録画でもCMを飛ばして1・5倍速で見るのがトレンドですからね」
テレビ離れの条件は十分揃っているわけである。
「とはいえ、各局はビジネスを成立させようと努力してきました。ただし、それを象徴する意味で、業界で今話題になっているのが、先日、週刊誌で報じられた小さな記事です」
週刊現代(6月25日号)に掲載された、「テレ朝の『天皇』早河洋会長が部下に送った『微妙な檄文』」という記事のことだという。記事によると、6月上旬にテレビ朝日の早河洋会長(78)が幹部社員に“檄メール”を送ったというものだ。メールには、6月の広告収入が大失速したため増収策を講じ、夏には経営合宿も開催したいとあったという。
「今さら何を言っているんだろう、と話題になっています。テレ朝は21年度の世帯視聴率で、開局以来初の視聴率三冠王を獲得しました。悲願だったとはいえ、あくまで世帯視聴率の話で、個人視聴率では9年連続で日テレが三冠王です。いくら世帯視聴率が取れても、コア視聴率が取れなければスポンサーがつかず商売にならないので、各局とも個人視聴率、中でもコア重視に乗り換えているというのに……」
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