Appleの動向に詳しいことで有名なアナリストのMing-Chi Kuo氏が米国時間6月28日、Appleが「iPhone」用の独自5Gモデムの開発に「失敗した可能性」があり、同社は少なくとも2023年中はQualcomm製モデムチップに完全に頼る必要があるとツィートし、ウォール街の一部の投資家を驚かせた。
Kuo氏は28日のツイートの中で、Appleは当初、2023年下半期にiPhoneの80%に独自開発の5Gモデムを搭載することを計画。この計画を通じたコスト削減で、iPhoneの希望小売価格を引き下げるか、もしくは販売利益を増加させることができる可能性があったと述べた。
Kuo氏のツィートを受けて、Apple株価は3%近く下落し、同日は137.44ドルの終値で取引を終了。一方、Qualcommの株価は3%以上上昇し、131.60ドルとなった。
今回の憶測の前にも、Appleが例年秋に発売する次世代iPhoneに関するリーク情報は、後が絶たない状態にあった。Appleがさらなる機能を追加したり、輸送や部品のコストが上昇したりする度に、投資家も顧客も、同社が希望小売価格を引き上げるだろうか、それとも、利益の減少に甘んじるだろうかと思いを巡らせてきた。他社製部品に頼る代わりに、独自開発のモデムチップをiPhoneに採用し、製造に伴うコストを削減することは、Appleにとって利益減少を回避するための方法の1つとされている。
Appleが独自モデムの開発に苦戦しているようだとの情報は、5Gモデム開発をめぐるこれまでの経緯を注視してきた人々にとっては、意外なことではないかもしれない。Appleは、Qualcommとの特許紛争に和解した後、チップメーカーIntelの5Gモデム部門を、2200人の従業員を含めて10億ドル(1360億円)で買収していた。最終的に独自の5Gチップを開発することができれば、AppleはiPhoneの製造コスト削減に加え、「iPad」や「Mac」に搭載されているAシリーズ、そして「Apple Watch」搭載のMシリーズのチップと同じやり方で、iPhoneの独自機能を開発できる可能性もある。
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