なぜロシア軍の全長64キロの車列は動きを止めたのか ウクライナ首都近郊
ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の全長60キロを超える車列が、ウクライナの首都キーウ(キエフ)から約30キロに迫った地点で、3日以上ほとんど動いていないという。イギリス国防省が3日、明らかにした。米国防当局は、ロシアが依然として首都を包囲してから制圧するつもりだと見ている。
ロシア軍の装甲車や戦車、牽引(けんいん)砲などの長大な車列がキーウに向かっている様子を捉えた人工衛星映像が2月末に明らかになり、首都への大侵攻が切迫していると懸念が広がった。これについてイギリス国防省は3日朝、この縦隊は「3日間で、識別可能な前進をほとんどしていない」と明らかにした。キーウからの距離は依然として約30キロ以上という。
米英当局は、兵站(へいたん)や故障などの問題が、進行を遅らせている可能性を指摘する。
一方で米国防担当者たちは、ロシアは依然として人口300万人の首都キーウを包囲し、必要な場合は封鎖作戦をとってでも、陥落させるつもりだとしている。
なぜ車列は止まったのか
巨大車列が止まった理由について、兵站や機械的な問題に加え、ウクライナ軍による予想外の抵抗や、ロシア兵の士気の低さなどが推測されている。
英政府は、軍用車の故障や渋滞が問題の要因になっているとしている。食料や燃料が不足しているほか、劣化して整備不良のタイヤも問題になっている可能性があるという。
英軍統合司令部の元司令官、サー・リチャード・バロンズはBBCラジオに対して、「燃料、食料、部品、タイヤなどを輸送するための兵站が、大破綻している(中略)多くの車両が次々と泥にはまって動けなくなり、車両を移動させるのが難しくなった」のだと話した。
ただし、兵站輸送やタイヤの問題よりも、通信システムの不良や公衆回線で連絡をとりあっていることなど、指令と伝達の問題がはるかに大きく影響している可能性もあると、バロンズ元司令官は話した。
米国防総省も、ロシアが物資輸送など兵站上の問題に直面していると指摘。このためロシア軍はこれまでの進捗(しんちょく)を点検し、「何が未達成で、失った時間をどう取り戻すか」検討しているという。
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https://www.bbc.com/japanese/60613307