マンションは平均37年で建て替えが行われますが、すべてのマンションが無条件で建て替えられる訳ではありません。40歳で新築マンションを購入した人が70代後半~80代に差し掛かる頃、ボロボロに老朽化したマンションから出られず、仕方なくそこを「終の棲家」とするしかない…そんな事態に直面するリスクはゼロではないのです。そんな最悪の結末を避けるには、なにに気をつければよいのでしょうか。詳しくみていきます。
計算上、国民の1割以上が暮らす「分譲マンション」
住まいについて、「持ち家か賃貸か」という議論が飽きることなく繰り返されています。どちらを選択するにしても、絶対的な正解はなく、マイホームを検討する層の頭を悩ませています。
ただ、総務省『平成30年住宅・土地統計調査』によると、日本の持ち家は3,280万2,000戸、持ち家住宅率は61.2%。持ち家住宅率の推移をみると、1983年の62.4%がもっとも高く、その後も60%前後で推移しています。賃貸派が多いのは、東京都(持ち家率45.0%)と沖縄県(持ち家率44.4%)の2地域だけであり、日本では「持ち家派」が多数派ということになります。<中略>
分譲マンションに焦点を当てると、初めてマンションを購入する世帯主の平均年齢は39.9歳。直近では、企業オーナーや投資家などの富裕層が都心の「億超え」の高級マンションを購入するケースが相次いでいることから、平均世帯年収が923万円にまで引き上げられていますが、「一般人」を切り取ると、マンション購入者の世帯年収は700~800万円ほどと考えられます。<中略>
その要因の1つが、入居者の高齢化。新築分譲マンションの場合、入居者は家族構成含めて似たような世帯が多くなります。そのため新築で購入してから数十年後、入居者も同じく年を重ね、あたりを見渡せば高齢者ばかりというマンションが多いのです。
国土交通省の調査によると、マンションの建て替えが行われるのは平均して築37年。前出の調査とおり、取得者の平均年齢である40歳前後でマンションを買ったとしたら、70代後半から80代。収入は年金に限られるというケースが多く、そんな時期に追加の修繕費納入を求められても、簡単に首を縦に振る訳にはいかないでしょう。
また取り壊しや建て替えとなると、一時的または恒久的にほかの住居へ移る必要がある訳ですが、高齢者が賃貸契約を結ぶのは簡単ではなく、「建て替えなんかせず、いまのままでいいですよ」となりがち。
マンションの建て替えを行う場合は区分所有者の5分の4、取り壊しを行う場合には全員の同意が求められる、というのが現在のルールですから、上のように考える高齢の入居者が増えたマンションでは、これだけの同意を取り付けるのは難しいのが事実です。このままでは荒廃したマンションが増加し続けてしまうため、現在、建て替えや取り壊しの決議に関する条件の緩和を含む区分所有法改正の議論が進められているところです。
新築時にはピカピカだったマンションも、数十年もの時間が経てば当然老朽化していきます。
そのときに、入居者の同意が得られずに建て替えができない事態に直面し、引っ越そうにも「高齢者だから」と部屋も借りられず、やむを得ずそこを終の棲家とする……こんな悲しい結末を避けるためには、購入しようと検討しているマンションの長期修繕計画が現実的なものであるか、購入前にしっかりと確認することが重要です。
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/d1e6b992dd26bb1ec2359d250d4be1d6732fc5a3
続きを読む