みずほフィナンシャルグループは8日、8月と9月に起きたシステム障害の原因分析と再発防止策をまとめた。特定の機器で故障率が上がっていたのに見落とし、さらに復旧時の手順も不十分で、全店での窓口業務が一時できなくなる事態を招いた。記者会見した石井哲最高情報責任者は「システムを使いこなせていない」と述べ、運用に問題があるとの認識を示した。
みずほ銀行は2021年に入り8度のシステム障害を起こしている。8日には9月に起きた障害の原因などについて金融庁に報告を提出した。8月20日の障害では、店頭での取引を処理するシステムにある富士通の機器が故障し、バックアップも機能しなかったため窓口の全停止につながった。
調査の結果、壊れたハード機器と同じ型番で今年度に入り前年の2倍のペースで故障が増えていたことが分かった。15年に入れた機器だった。石井氏は「一定の経年で故障率があがった。」と説明した。故障の詳細な原因はなお不明だ。
復旧時の手順書が不備
バックアップの弱さも原因になった。8月20日は平常時のデータセンターのバックアップが使えず災害対策用の拠点に移管することになったが、手順書がなかったため作成に長時間がかかったという。設計時の想定が行き届いていなかった。復旧時のベンダーとの連携にも課題があり、再発防止ではベンダーとの協力関係を強化するため、ベンダー出身者の採用や出向を増やすことも明確にした。
9月30日には外国為替取引のシステムで障害があり、400件弱の送金に遅れが出た。マネーロンダリング(資金洗浄)の恐れがないかどうかをチェックする部分で不具合があったという。
8度の障害のうち、3回はハード故障が原因だったことが分かっている。3月にも機器故障で外為送金が滞り、9月8日にATM最大100台が
停止した障害でも原因はハード機器だった。みずほがまとめた再発防止策では、不具合が相次ぐハード機器について故障の予兆を厳格に管理するとした。
みずほは6日に月内のシステム作業計画も金融庁に提出した。障害の再発防止のための改修など必要最低限に絞り込み、金融庁の監視下で安定稼働に専念する。ただ8度の障害に共通する要因は曖昧なままで、原因究明が待たれる。
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