NHKが8月16、17日にNHKスペシャルとして放送した戦後80年関連ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」について、題材となった総力戦研究所の初代所長、飯村穣中将の孫で、元駐フランス大使の飯村豊氏(78)が14日、都内で有識者らを招いたシンポジウム「ドラマによる歴史の改ざんは許されるのか?」を開催し、番組内での飯村中将の人格表現などに「事実と反する部分が会った」として、人権侵害で損害賠償請求を行う方向であることを明かした。
飯村氏は8月26日に会見を開き、ドラマ内で描かれた「私の祖父と思われる人物」について「責任逃れで部下を圧迫するような人間として描かれていた。祖父の人格を毀損(きそん)するような描き方をしている。祖父がそういう人間ではなかったことはいろんな書物にも出ていますし、どういう根拠でああいう人物をつくったのか」と主張。また、史実の伝え方について「歪曲(わいきょく)、捏造(ねつぞう)して伝えている。公共放送であるNHKがこうした間違った伝え方をするのは全く遺憾であります」と語っていた。
NHKは会見を受けてコメントを発表しており「番組は戦後80年が経つ中で歴史を風化させず、なぜ日本が戦争に突き進むことになったのかを考えてもらうきっかけになればと考え企画しました。番組制作の過程の詳細についてはお答えしていませんが、今回の番組は、ドラマパートとドキュメンタリーパートで構成されています。ドラマパートは実在した総力戦研究所に着想を得たものであり、所長および関係者はフィクションとして描かれています。ドキュメンタリーパートでは、総力戦研究所の史実や関係者の実像についてお伝えしています」としていた。
9月の定例会長会見では稲葉延雄会長が「フィクションと明示はしていましたが、ドラマを面白くするために脚色していたのではと指摘されても仕方ない部分はありました。たとえドラマであってもNHKらしくなかったと受け止めております」などと語っていた。
今回のドラマは同名小説を原案に、主人公を池松壮亮が演じ、石井裕也監督が初めて戦争ドラマに挑んだ作品。シンポジウムでは、今回のドラマが20年ごろから石井監督と池松らの間で映画プロジェクトとして立ち上がったものであること、22年に松竹へアプローチ、クランクインするも撮影中止となっていたこと、23年にNHKへ協力要請され、ドラマ制作へ至ったことなども説明された。なおNHKは9月の会見で映画化構想の有無については「現時点でお答えできることはありません」とコメントしている。
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