【キーウ(キエフ)=渡辺晋】ウクライナ東部ルハンスク州のセルヒ・ハイダイ知事は27日夜、SNSで、ロシア軍が要衝のセベロドネツクなどへ攻勢を強める同州から、「退路がなくなる前にウクライナ軍の撤収もあり得る」との見方を示した。包囲を回避し、将来的な反転攻勢に向けた戦略的判断を示唆した可能性がある。ただ、市内には住民約1万3000人が残っているとされ、ウクライナ軍は難しい判断を迫られている。
ハイダイ氏は28日にも、SNSを通じ、露軍がセベロドネツク北東部のホテルに「居座っている」とし、市内の一部が占拠されていることを認めた。一方でウクライナ軍が、露軍を撃退していることも強調した。市街戦も起きているという。
露軍は、ドンバス地方(ルハンスク、ドネツク両州)でウクライナ軍を広範囲に包囲する戦術を、要衝の順次撃破に転換している。露国防省は28日の発表で、ドネツク州北部の鉄道輸送の拠点リマンを「完全制圧した」と発表した。同州の主要都市スラビャンスク、クラマトルスク攻略に向けた足場も固めている。
ルハンスク州でも、露軍はセベロドネツク攻略と並行し、ウクライナ軍の退路と補給を断つため、隣接するリシチャンスクと軍の拠点バフムトを結ぶ幹線道路の掌握も進めている。ハイダイ氏が示唆した軍の撤収は、こうした露軍の戦術転換が影響している可能性がある。ウクライナ軍は今月24日、住民約1万人を残し、ドネツク州北部スビトロダルスクから撤収している。
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