バルト海「NATOの湖」に 北欧2国加盟、緊迫化必至
北大西洋条約機構(NATO)は6月29日の首脳会議で、スウェーデンとフィンランドの加盟手続き開始で合意した。ロシアのウクライナ侵攻を機に軍事的な中立からの転換を決めた北欧2カ国の加盟は、ほぼ確実な情勢。これにより、戦略的に重要な欧州北部のバルト海は、加盟国に囲まれた「NATOの湖」(英BBC放送)と化す。
◇皮肉な北方拡大
ロシアのプーチン大統領はNATO「東方拡大」阻止を理由の一つに、ウクライナ侵攻を開始した。しかし、皮肉にもこれがNATOの「北方拡大」を招き、ロシアの孤立は深まった。
侵攻を目の当たりにして脅威を再認識したスウェーデンとフィンランドは5月、集団安全保障の枠組みでの防衛強化を目指し、NATO加盟を申請した。加盟が実現すれば、両国が面するバルト海沿岸は、サンクトペテルブルクなどフィンランド湾に面するロシア北西部のわずかな海岸と飛び地カリーニングラード州を除き、全てNATO加盟国で占められる。
バルト海はロシアと大西洋を結ぶシーレーン(海上交通路)で、NATOとロシアの双方が軍事的関心を寄せる。ここが「NATO化」すれば、ロシア海軍や空軍の行動は著しく制限される。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022070100745&g=int