【パリ=白石透冴】ロシア軍が占領したウクライナ南部ヘルソンの親ロ派暫定当局は28日、ロシアへの編入を「2023年にかけての状況を見て判断する」と語った。22年末までに併合への準備を整える方針だったが、ウクライナ軍の反撃が続き、早期実施が難しいと判断したようだ。
一方、ウクライナ大統領府は29日、ゼレンスキー大統領が東部ハリコフを視察して同軍兵を鼓舞したと発表した。同氏が首都キーウ(キエフ)圏を離れるのは侵攻が始まってから初めて。ハリコフ周辺はロシア軍が攻勢をかけていたが、ウクライナ軍が押し返してほぼ奪回した。
ロイター通信によると、ヘルソンの暫定当局者は編入について「今年は実施しない」「23年にかけての状況を見て判断する」などと語った。編入のための住民投票も視野に入れるが「まずは地域の治安回復を優先する」とも言及した。<中略>
ロシア側の損害も大きいとみられる。米シンクタンクの戦争研究所は28日、「セベロドネツクの戦闘がどう終わろうと、ロシア軍は運用面でも戦略面でも限界に達する。ウクライナ軍に反撃の機会を与えるだろう」との分析を公表した。
ウクライナ国防省は28日、侵攻が始まってからロシア軍の死者が3万人に達したと発表した。ロシアのプーチン大統領は同日、志願兵の年齢上限を撤廃する法案に署名し、同法案は成立した。兵員不足に対応する狙いがある。
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