かつて日本文学の海外進出は、一握りの「天才」による例外的な成功と見なされていた。しかし、現在の英米における日本文学の躍進は、もはや一時的な流行ではなく、地殻変動を呼ぶべき構造的な変化を遂げている。世界的なフェミニズムの潮流との合流、そして「ポスト村上」を越えた作家の誕生。その最前線で何が起きているのか。鴻巣友季子が動画『なぜ日本文学は英米で人気なのか』で解説した。
──現在の英米における日本文学の立ち位置は、かつての状況と比較してどのように変化しているのでしょうか。
鴻巣 1990年代から活躍されている吉本ばななさんや村上春樹さんは、2000年代にはすでに大きな人気を博していましたが、ほかの作家では、例えば2000年か2001年頃に、アメリカの大型書店チェーンである「バーンズ&ノーブル」の新人発掘枠のリストに、柳美里さんが選ばれたのを覚えています。<中略>
──その「大きな対話」のなかに、現在の日本文学は深く入り込んでいます。とくに象徴的な作家の名前を挙げるとすれば?
鴻巣 ダントツで「地形を変えた」と言われているのは、村田沙耶香さんです。とくにイギリスでのインパクトは凄まじいものがあります。かつては「ポスト村上を探せ」と言われていたのが、今では「ポスト村田を探せ」と言われるほどに変わっています。そのほか、川上未映子さん、川上弘美さん、そして2024年から2025年にかけて大ヒットを飛ばしている柚木麻子さんの『BUTTER』です。これらは英語圏のどこへ行っても平積みされています。
──「村上春樹」という山脈を越えて、世界が「村田沙耶香」を基準にし始めた。
鴻巣 日本の作品は、源氏物語の時代から世界をリードするような素晴らしく面白いものが数多く存在してきました。では、なぜこの10年ほどで急増したのか。それは、翻訳者という「運び手」が増え、優れた人材が育成されたことがきわめて大きな要素です。
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