「政府が『盆踊りには行くな。他国の宗教行事に行くのは問題だ』と言い出したので、参加するかどうか迷ったんです。でも、行ってよかった。コロナ前の盆踊りより盛り上がっていて、とても楽しかったです」
マレーシアで去る7月16日、クアラルンプール日本人会主催の盆踊り大会が同市郊外の会場で盛大に実施された。参加者数は実に5万人(主催者発表)。コロナ禍前の3万5000人を大幅に上回り、会場付近には一時「盆踊り大渋滞」ができるほどになった。
同国のイスマイル・サブリ首相が率いる政権で宗教問題を担当する閣僚、イドリス・アフマド首相府相が「盆踊りには他宗教の要素が入っているため、ムスリムは盆踊り大会には行かないように」と呼びかけた。これに加え、イスラム開発局(JAKIM)が、「盆踊りに異教の影響力の存在が確認された」との調査結果を公表したため、「ムスリムは盆踊りに行ってはいけないのか」と感じたマレー系市民の間で騒ぎが広がった。
一部の市民の間では盆踊り大会の名称を「日本文化祭」または「社会祭」と改称する提案も出た。しかしこうしたアイデアに対し、多くのマレーシア人から「改称すべきでない」と反発する声も上がった。それほどまでに、日本の盆踊りは現地の人々に定着している催しといっても良さそうだ。
このように、開催前から政府の発言や州王の「ご判断」が話題を集めたこともあり、マレーシアで盆踊り大会に対する注目が一気に高まった。どんなことをやっているのか、と興味本位で訪れた市民もいたりしたため、コロナ禍前には3万5000人規模だった参加者数が一気に5万人まで膨れ上がったわけだ。海外で行われている盆踊り大会の類いでは、文句なしで世界最大のスケールとなった。
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