プーチン氏は「手ぬるい」 ロシアで高まる独裁者スターリン人気「民主主義ではなく『皇帝』が必要」
市民や政敵を弾圧し、周辺国への侵攻を重ねた旧ソ連の独裁者スターリンがロシアで人気を集めている。冷戦期、米国と世界を二分した〝超大国ソ連〟への郷愁から、強い指導者を求める声が拡大した。一部の市民はプーチン大統領の対外政策がスターリンと比べて「手ぬるい」として奮起を促し、国際社会の批判をよそに、ウクライナでの「特別軍事作戦」の完遂に期待する。(モスクワ・小柳悠志、写真も)
ナチス・ドイツに対する戦勝記念日の5月9日。モスクワでは退役軍人や戦没者をしのぶパレード「不滅の連隊」が行われた。
起業家アレクサンドルさん(47)は「ロシアは広大な領土を持つ多民族国家。タフな指導者でないと務まらない」と言い、スターリンの旗を掲げた。弟ミハイルさん(44)も「ナチスを率いたヒトラーは暴君だが、スターリンは優れた専制君主だ」と相づちを打った。
2人はプーチン氏について「頭は良いが政治家としては優しすぎる。議論などせず政策を断行しないと」と強権発動を求めた。ロシアのウクライナ侵攻に反発する北大西洋条約機構(NATO)に関し「加盟国を東方に広げるのを防いでほしい」と要望した。
スターリンへの評価はソ連崩壊後のロシアで高まり続け、2019年の独立系世論調査機関レバダ・センターの調査では、7割がスターリンを「ロシア史において肯定的な役割を果たした」と回答した。
スターリン人気について、レバダ・センターのグトコフ副所長は米政府系メディア「ラジオ自由」を通じて次のように説明している。
スターリンは何百万人もの罪のない人を強制労働や銃殺で死に追いやったが、次第に粛清の恐怖が風化した。プーチン氏が00年に大統領に就任、対独戦の意義を強調し始めたことで、戦時指導者スターリンの役割に光が当たるようになったという。
グトコフ氏は「ロシアの再スターリン化はプーチンの権力掌握とともに進んだ」と結論づけた。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/179406
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