都市建設が「低密度」であることによって、サービス業の発展が抑えられる、労働者の実質賃金が抑えられる、あるいは過剰な債務を地方が負うことになるといった様々な問題が生じている、というのだ。その上で陸は、今後は人口500万人以上の都市に人口を集中させるよう、戸籍改革を含めた都市化政策の見直しを行うべきだ、と提言している。
実際、ハーバード大学教授のケネス・ロゴフとIMFエコノミストの楊元辰は、2021年以降の不動産市場の低迷において供給過剰がより深刻で、価格が大幅に下落するという事態を招いているのは、北京、上海、深圳、広州の四大都市(一線都市)や各省の省都を中心とした大都市(二線都市)ではなく、三線以下の地方都市であると指摘した。
ロゴフらの推計によれば、三線以下の都市居住者は全都市人口の66%を占めているにすぎないが、都市における住宅ストックの72%以上を占めている。また、2020年には、三線都市における建設業の総生産額は、全国の約80%を占めていたという。
しかし、上述のような「低密度の都市建設」と急速な高齢化が相まって、三線都市では今後の住宅需要の回復が見込めない。ロゴフらは、2021年に発表された論文において、中国のマンション需要はすでに頭打ちになっており、今後は価格の調整が避けられないことを指摘したが、そのような需給バランスの偏りがより深刻なのが三線以下の中小都市であることは間違いない。
すでに三線都市の不動産問題は一線および二線都市と比べて深刻化している。中国不動産取引仲介企業、KEホールディングス(貝殻找房)の調査部門が2022年8月に発表した報告書では、主要28都市を調査した結果、一線都市の空き室率は7%、二線都市が12%、三線都市が16%と、田舎になればなるほど空き家が多い。
そして、築年数別の空き家率を見ると、完成から1年未満のマンションは空き家率が30%と一番高く、そこから築年数が延びるほどに空き家率が下がっていくという傾向が明らかとなった。日本の空き家問題は「住む人がいなくなった地方の古い家がたくさんある」ことだが、中国では「地方の新築マンションが空っぽのまま放置されている」ことが大きな問題なのだ。
新型都市化の波に乗って成長した碧桂園。一時は大成功を収めたが、そもそも住みたい人がいない不動産を作りまくっていたという致命的な欠点があった。これを放置していればバブルのリスクが高まると懸念した習近平政権は不動産産業の野放図な発展を抑止する規制を2020年に発表、これが引き金となって碧桂園と中国不動産産業の転落が始まった。
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