肩まで無造作に伸びたウェーブがかった髪の毛に、背中を丸めうなだれた様子のスーツ姿の長身の男。一審判決後、およそ4カ月ぶりに法廷に姿を現した経済産業省の元キャリア官僚・桜井真(29)被告は、大きく礼をしながら再び証言台に立った。
桜井被告:嘘で塗り固めている発言にショックを受けました。公私ともに暮らしてきたのに、私にずっと悪用されてきて詐欺をやらざるを得なかったと演じきったのには深く傷つきました。
4月21日に東京高裁で開かれた控訴審の第一回公判。被告人質問の中で、時折声を震わせながら桜井被告が訴えたのは、かつての“相棒“の元同僚に対する恨み節だった。
運命を分けた一審判決 実刑と執行猶予
経産省元キャリア官僚の桜井真被告と元同僚が、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少したように装うウソの申請をして、持続化給付金などおよそ1550万円をだまし取った罪に問われた事件。去年12月、一審の東京地裁は、桜井被告に懲役2年6カ月の実刑判決を、元同僚に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
判決の中で東京地裁は、桜井被告が「犯行を主導した」と認定した一方、元同僚については「桜井被告がいなければ犯行には及んでいなかった」と指摘した。桜井被告はこの判決を不服として控訴。控訴審で桜井被告の弁護側は一審判決の「量刑が不当」と主張し、検察側は控訴の棄却を求めた。
一審の裁判では、桜井被告が華美な生活を改められなかったことのほかに、元同僚との“ゆがんだ友人関係”が事件の背景にあったことが明らかになった。金銭トラブルを巡り、元同僚が起こした“ミス”。その出来事をきっかけに、2人の間に主従関係が出来上がった。
元同僚:(桜井被告に)数え切れないほど何度も責め立てられた。経産省地下3階のボイラー室前の音が籠もる場所で壁を蹴って「お前のせいだ。お前がケツを拭け。俺は何も関係ない。」と言われた。それを1人で誰にも言えず抱え込んでしまった。(一審の被告人質問より)
控訴審で語った元同僚の“裏切り“
控訴審では、こうした元同僚との関係が「真実とは異なる」と訴えた桜井被告。一審判決後に明らかになったとする元同僚の“裏切り”に対しても怒りを滲ませた。
桜井被告:(詐欺に使ったペーパーカンパニーについて)裁判では自分は関係ないと話していたのに、(一審判決後に)『100%名義を持っていて税務署にも届けているから自分の会社だ』と言ってきた。これが真実なのにな。悔しい。私自身、人のことを言える立場じゃないし、言動を悔い改めないといけないなと思っています。
一審の被告人質問で、元同僚はこのペーパーカンパニーについて「桜井さんの会社です。桜井さんの個人資産を運用するペーパーカンパニーです。出資は全額桜井さんです。」と述べていた。
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