修理前のディルバー。ドイツ当局は数週間にわたる調査で、所有者を露実業家ウスマノフ氏の妹と特定した(ロイター
オリガルヒ資産押収続々 世界最大豪華ヨットも
米欧がウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁として打ち出したオリガルヒ(新興寡占資本家)の資産差し押さえがようやく実を結び始めた。先月中旬には米独が協力して、世界最大の豪華ヨットとされる「ディルバー」を押収した。米国はプーチン露政権と結びついたオリガルヒの資産の割り出しを行うタスクフォースを3月に発足させており、こうした情報が生きた形。ペーパーカンパニーを経由するなどして所有権の痕跡を消してきたオリガルヒの隠蔽工作の裏を暴き、差し押さえに至るケースが出てきている。
所有者を露実業家ウスマノフ氏の妹と特定した(ロイター)
米国では、制裁対象者となっているオリガルヒから豪華ヨットなどの200万ドル(約2億6000万円)を超える資産を没収して売却し、ウクライナ支援の財源に充てる法案が4月27日に下院で可決。戦争で被害を受けたインフラの復旧や兵器供与などの資金に使うことを想定しており、バイデン大統領も「彼らのヨットや豪華な邸宅、不正に得た所得を没収していく」と法案を支持する。
米欧メディアによると、押収されたディルバーは全長160メートルの豪華ヨット。総トン数は1万5917トンで、世界のヨットの中で最大だ。2つのヘリパッドに180立方メートルの水量を誇る25メートルプール、地中海地方の植物を植えた庭園などを備え、米財務省によると、資産価値は最大で7億3500万ドル(約956億円)に上る。
https://www.sankei.com/article/20220507-EJEPOMDTOROMRHZX7TNW2J6N6Y/