「前例ない」は本当か
気象庁は、この潮位変化が通常の津波よりも3時間ほど早く日本に到達していることや、経路上の島々で大きな潮位変化が観測されていなかったことなどから、津波かどうかわからない、前例のないことだと指摘していました。
大規模な火山噴火に伴って発生する津波としては、山体崩壊によって大量の土砂が海中に流れ込むケースや、爆発による海面隆起などのケースがよく知られています。今回の津波も、こうした現象によるものが含まれている可能性が考えられますが、そのパターンにはあてはまらない特徴があったというわけです。
ただ、全くの前代未聞かというと、そうともいえません。1883年に発生したインドネシアのクラカタウ火山の大規模噴火の際は、今回日本に到達したとみられるものと同様に「海中を伝わる津波」ではない潮位変化が起きたとの研究があります。この際はインド洋や太平洋だけでなく、北米大陸を挟んだアメリカ東海岸でも潮位変化が観測され、大気の波動によるものと結論づけられました。近代の観測網によるものではありませんが、過去に全く事例がなかったとは言い切れません。
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https://weathernews.jp/s/topics/202201/180005/