1:名無しさん




当初ドイツ政府はPHEVにも補助金を給付していたが、2023年1月で廃止した。2023年9月には企業・団体が購入するBEVへの補助金も打ち切られ、対象は個人ユーザーだけになった(個人商店は可)。これは政府が補助金の支出総額を大幅に削る手段だった。

ドイツ国内の乗用車販売台数の約3分の2は、企業が従業員への「特典」として貸し与えるカンパニーカーや営業車などの社用車、レンタカー、タクシーなど法人需要である。個人向けは全体の3分の1に過ぎない。企業は当初、環境イメージのためにBEVを購入した。しかし、2023年秋の段階でドイツ国内では法人需要でBEV排除が始まっていた。

法人ユーザーの多くは自動車を購入しない。リース会社と契約し、クルマを「借りる」方法が主流だ。ICV(ICE=内燃機関を搭載するクルマ)のリースでは、リース期間中の点検・整備や消耗品交換などの料金を丸ごとカバーするメンテナンスリースが一般的であり、そのためBEVでもメンテナンスリース契約が主流だった。ところがBEVは、修理に「予想以上にコストがかかる」ことからリース会社が音を上げた。

たとえばバッテリーがトラブルを抱えてバッテリーパックまるごとの交換が必要になった場合、リース会社はその代金をリース契約者には請求できない。メンテナンス料金はあらかじめ決まっており、その料金を超えては徴収できないのだ。新車保証期間中ならバッテリーパックはOEM(自動車メーカー)が無償で交換するが、カンパニーカーの走行距離がバッテリー保証対象の走行距離を超えていればバッテリー交換は有償になる。リース会社が企業向けリース車両のバッテリー交換費用を負担した例は、ドイツでは少なくなかった。

バッテリーパックまるごと交換の場合、部長級がカンパニーカーとして使うDセグメントのBEVでは300万円程度が相場だ。この出費は、たとえば3年のリース契約でリースする場合にリース会社が得る利益を、場合によっては超えてしまう。リース会社は「まるごと損」になる。

リース会社はBEVの下取り価格でも損をした。リース契約期間が終了する前にリース会社は「このままリース契約を続けますか?」と契約者に打診する。OKならそのまま「再リース」になる。「もう契約しない」と言われたら、リース会社は車両を引き取って中古車として売却する。多くの場合は最初のリース契約時に「リース契約終了時の残存価格」を決めておくクローズドエンドという契約であり、ICVでは「リース会社がいくらか儲かる」というケースが多かった。

ところがBEVでは、中古車としての下取価格がICVの常識より「はるかに安い」ケースが続出した。リース会社は中古車としての売却利益を得るどころか、損をするケースが多かった。

もちろんICVでもそういうケースはある。そのためリース会社は、保険会社との間で「残存価格保険」の契約をする。これを専門に請け負う残存保険会社がある。リース契約終了時の下取り価格が想定よりも安かったら、その差額を保険会社に保証してもらうという保険だ。

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