「ごみ袋に名前を書いて出さなければいけないなんて、生活を見られているようで嫌なんです」。
ある自治体の住民女性が戸惑いの声を毎日新聞に寄せた。ごみ袋に記名しないと回収されないのがその自治体のルールだが、家庭ごみにはプライバシーに関わるものも多く含まれ、抵抗があるという。一方、自治体側は記名によって分別徹底の効果を期待する。賛否が分かれる現場の実情を探った。
鹿児島県いちき串木野市の道路脇に設けられたごみ置き場を午前8時前に訪れると、各家庭が出したごみ袋にフルネームが記入されていた。収集場所の看板には「指定ごみ袋に名前を書いてください」と書かれている。
「名前を書いていないと持っていかないよ」。収集業者の男性が語った。
このルールに疑問の声を寄せたのは、数年前に関東地方から同市に引っ越してきた70代の女性だ。これまでごみ袋に名前を書いた経験はなかった。「何を食べたり、飲んだりしているのかがごみから分かってしまう。しっかりと分別しているのに、どうして名前を書かないといけないのか」と首をかしげる。
一方、記名に賛成の市民もいる。市内の40代男性は「別にやましい物も入っていないし、ごみを持っていってくれない方が困る」という意見だ。市内の別の女性(78)も名前を書くことに抵抗はないとし「ごみ袋の中に危険物が入っていて火災になったことがあると聞いた。収集する人も大変だろう」と理解を示す。
ごみ袋に記名を求める自治体は他にもある。分別の推進など自治体の狙い通り住民のごみへの意識が高まれば、排出量削減も期待できるが、実際はどうか。
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https://mainichi.jp/articles/20230216/k00/00m/040/318000c