■JOCは「北京のMVP」と大喜び
「JOC(日本オリンピック委員会)内からは、『北京のMVPはカーリング』という声が出ています。テレビ視聴率では花形競技のフィギュアスケートを上回る数字を叩き出した。坂本花織が銅メダル、ワリエワ騒動もあって注目された女子シングルのフリーは、午後7時からの中継で世帯平均視聴率が19.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区=以下同)。対して、女子カーリングの1次リーグの米国戦は同じ19.0%。予選、かつ、NHK総合で中継が始まったのがフィギュアより遅い時間帯の夜10時からということを考えれば、フィギュア以上の注目を集めていたと言っていいと思います」(テレビ局関係者)
平昌五輪で全国的の知名度を得たLSの面々は今回の北京五輪でも大きな注目と期待に応えたわけだが、だからといってチームを取り巻く競技環境が劇的に好転したわけではない。
チームの創設者で、一般社団法人ロコ・ソラーレの代表理事を務める平昌五輪銅メダリストの本橋麻里氏が自身の著書、「0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方」(講談社現代新書)で<五輪のメダリストと呼ばれるようになりましたが、ちょっとちやほやされても、1年も経てば普通の人になります>と記しているように、ブームが起きても一過性で長続きはしない。
どんなに全国的になっても、競技だけで飯を食える環境には程遠いのが実情。チーム一の人気を誇る藤沢は保険代理店の「コンサルトジャパン」、サードの吉田知那美(30)は自動車販売の「ネッツトヨタ北見」、リードの吉田夕梨花(28)は「医療法人社団 美久会」、セカンドの鈴木夕湖(30)は「北見石油販売」、リザーブの石崎琴美(43)は「松田整形外科記念病院」に勤め、競技との二足のわらじを履いている。
今五輪でスピードスケート女子1000メートルなど計4つのメダルを獲得した高木美帆(27)に、冬季日本人選手で史上最高額となる総額2200万円の報奨金がJOCと日本スケート連盟から支給されると話題になっているが、LSにはJOCから銀メダリストに出る1人200万円のみ。日本カーリング協会の規定に報奨金はない。
■強化費はスキーの4分の1以下
「LSが平昌五輪で史上初のメダルを獲得した際に、日本カーリング協会の幹部が報奨金に関して『お金がないので、ない袖は振れない』と発言したことが話題になった。令和2年度の協会の決算報告書によれば、JOCからの『交付金』と『強化NF事業補助金』を合わせて約6940万円にとどまるが、例えば実績の高い日本スキー連盟は合わせて約2億8940万円と4倍以上のお金を手にしている。日本スケート連盟も計1億5850万円です。資金不足のカーリング協会は平昌五輪前に代表チームの強化費をクラウドファンディングで募ったものの、300万円の目標金額に対してわずか3万9300円しか集まらなかったと話題になり、かえってマイナースポーツの厳しい現実を突き付けられることになりました」(スポーツライター)
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