世界初となる次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」を製造する電池メーカーAPB(本社福井県越前市庄田町、堀江英明社長)はこのほど、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコと、同電池の共同開発に向けて連携することで基本合意した。APBは越前市の武生工場で大規模量産化の技術確立に取り組んでおり、堀江社長は「世界最大の総合エネルギー企業との連携は技術革新を加速させ、世界展開に向けて将来的な(石油由来の)樹脂素材の供給源の確保にもつながる」と強調した。
全樹脂電池は、リチウムイオン電池の主要な構成要素である集電体などを、金属ではなく樹脂に置き換えたもの。従来品と比較してモジュール(組電池)当たりのエネルギー密度が高く、発火リスクも低い。製造工程も従来に比べてシンプルで、大規模量産化できれば製造コストを低減できるという。
APBは2021年5月に武生工場を開所し、今年1月には本社を東京から移した。現在は大規模量産化に向けた高速製造ラインの開発に取り組んでおり、堀江社長は「高速大量生産に向けた要素技術の大きな課題は解決した。あと1年程度で技術確立したい」と話す。高速製造にめどが立てば、年8ギガワット時の蓄電量に相当する全樹脂電池を製造できる量産工場を県内に建設。26年度から稼働させ、再生可能エネルギーの蓄電向けなどに販売する方針だ。
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