11/3(水) 18:06
日本に60種ほどいるゴキブリ。害虫とされるが、人家に姿を現すのはわずかで、ほとんどの種は自然界で朽ち木などの腐食質を食べて生きている。2020年11月と2021年6月、日本産のゴキブリの新種が3種も立て続けに発表された。静岡県の磐田市竜洋昆虫自然観察公園の職員、柳澤静磨さんが法政大学の島野智之教授、鹿児島大学の坂巻祥孝准教授らと共同で研究して発見したものだ。
3種とも“ 美麗種”とされるルリゴキブリ属で、大きさはそれほど違わないが、上翅に特徴的な模様がある。与那国島のウスオビルリゴキブリは不明瞭な黄赤色の帯、奄美大島などに生息するアカボシルリゴキブリは三つの黄赤色の紋、宮古島のベニエリルリゴキブリは基部の黄赤色の微毛と中央部の明瞭な黄赤色の帯が特徴だ。
ウスオビとベニエリは絶滅のおそれがあるため、「種の保存法」に基づく緊急指定種に指定され、捕獲・殺傷・販売などが制限された。同法でゴキブリが保護されるのは初めて。「ゴキブリは嫌われていますが、生態系の一つのピースであって、分解者として重要な役割を担っています。自然を保護するには、生態系を広くとらえて保護することが必要です」と柳澤さんは話す。
柳澤さんは自らを「ゴキブリスト」と呼び、自宅で国内外産の50種ほどを飼育している。だが、3年ほど前まではゴキブリが大の苦手だったし、幼い頃は昆虫図鑑のゴキブリも見たくないと、セロハンテープでページを貼り付けていたほどだという。
柳澤さんをゴキブリストに変えたのが、2017年に仕事で訪れた石垣島で出合ったヒメマルゴキブリだ。この種の雌と幼虫はダンゴムシそっくりの姿をしていて、危険を感じると、ころんと丸まる。「それまでゴキブリに抱いていたイメージが完全にリセットされました」と柳澤さんは話す。
その後は休暇ごとに沖縄などの離島へ採集旅行に出かけ、自宅で繁殖を始め、2018年からは職場の昆虫館でゴキブリ展を開催。そこでは50種ほどを展示し、アイドルグループさながらに「GKB48総選挙」を実施して来館者に「推しゴキブリ」を選んでもらっている。「よく見てもらって、おもしろい種類がたくさんいることを知ってほしい」と言う柳澤さんは、来年の展示に向けて構想を練り始めている。
ソース https://news.yahoo.co.jp/articles/3b3b64fc3d12dfe1654f7539f9ca4af3112be9ca