システム開発の頓挫を巡る、文化シヤッターと日本IBMとの間の裁判で、東京地方裁判所は日本IBM側に19億8000万円の支払いを命じた。米セールスフォースのPaaSを用いた販売管理システムの構築を目指し、2015年に始めた開発プロジェクトだったが、2017年にストップしていた。東京地裁は開発失敗の原因をどう認定したのか。裁判記録をもとに読み解く。<中略>
ところが開発は見通しを大きく外れ頓挫する。東京地方裁判所の認定によれば、文化シヤッターが旧システムと同様の画面の見た目にこだわり、日本IBMも積極的に標準部品の活用へ誘導することなく2次要件定義フェーズや設計・開発フェーズを進めたため、カスタム開発の割合は95%に膨れ上がった。これによって年3回あるSalesforce1 Platformのバージョンアップへの対応が厳しくなることが予想され、運用困難なシステムとなった。さらに2016年3月に始めたシステム結合テスト(SIT)では進捗率50%の段階で770件の欠陥が見つかった。これは開発規模から予想される標準的な欠陥発生数である467件を大きく上回る。
日本IBMは2017年5月29日、画面などのカスタム開発を全廃するとともに、2年4カ月と21億5000万円の追加費用を要する開発を提案した。しかし販売管理システムで目指す業務革新ポイント18項目のうち15項目を部分的にまたは全く実施できない内容だった。しかも既存システムとのデータ連携も技術的な実現可能性を欠いていただけでなく、既存システムで使用していたホストコンピューターを継続利用する必要があるなど、文化シヤッターとして受け入れがたい提案だった。
日本IBM役員から開発状況の説明を受けた文化シヤッター役員からは「ほとんどの今までの作業はムダだった?」「ここまで作って動作しないから、チャラにしたいはあり得ない」といった悲痛な訴えがあったという。
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