「4月以降、PUT(総個人視聴率)が目に見えて下がっている」「ゴールデンウィークが明けてさらにひどい」この4月から5月、6月にかけて業界内でこんな噂が飛び交っていた。<中略>
■多くの層が接触率ダウン。特にゴールデンタイム。
そのインテージのデータで、各層で昨年6月と今年5月を比べると驚くほど下がっていた。<中略>
■テレビは自分で相手を狭めている
ここまでで、女性の一部、男性の多くで主にゴールデンタイムのテレビ視聴が減少し、YouTubeはじめ動画配信に流れたことがわかってきた。放送から配信へのシフトはコロナ禍以降顕著になっていたが、4月5月で急減したのはなぜだろう。以下は、私の推測を述べる。
この4月はどの局も大きく改編を行った。局により呼び方は違うが、コア層つまり49歳以下の若者やファミリー層に向けた番組編成になった。その結果、コア層ではない50歳以上の男性がゴールデンタイムの番組を見なくなったのは当然かもしれない。だがそれだけでなく、ターゲットであるはずの女性20代や男女40代も減ってしまった。
同じような番組ばかりになってしまったからだと私は考える。ゴールデンタイムにテレビをつけると、クイズやゲームのような誰にでも楽しめる番組ばかり放送されている。同じようなタレントばかりが出演し、こっちの番組ではクイズを出題していたタレントが、別の番組では回答者として答えている。これを各局が毎晩毎晩放送しているのだ。嫌になる人が出てくるのも当然ではないだろうか。
ターゲットを絞りその人たちが好む最大公約数ですべての番組を作ると、それが好きな人は見てくれるだろうが、さほど好きじゃない人は「またかよ」となってしまう。最大公約数ではすべてをカバーできないのに、どの局も毎日最大公約数を狙うので似たような番組だらけになり視聴者が離れたのではないか。
でもターゲットを絞らないと、とテレビ局の人は言うだろう。だがこのターゲティングもずいぶんざっくりしている。コア層の数字取れてますと言われても、スポンサーからするともっと絞った層にCMを届けたい。コア層の戦略は実はこの10数年日本テレビだけがとっていたもので、全局が似たような戦略を取った今、逆に価値を失いかけているのだと思う。
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https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20220707-00304078