もともとフジ系列の日曜18時30分枠はアニメの時間でした。その最初の作品が『リボンの騎士』。1967年4月2日から6月25日まで放送された手塚治虫先生原作の人気マンガのアニメ化です。近年に舞台化されるなど、いまだに変わらぬ人気で知名度の高い作品でした。この放送枠で1話から13話まで放送した後、14話以降は日曜18時枠に移動します。
その次が『マッハGoGoGo』。もともとは日曜19時枠でしたが、1967年7月2日から1968年3月31日まで、14話から最終回をこの枠で放送しました。国内での人気もさることながら、海外ではさらに高い支持を得て、リメイクまでされた人気作です。
さらに1968年4月7日から1969年3月30日まで放送されたのが、水曜18時15分枠から移動してきた『ゲゲゲの鬼太郎』(第1作)でした。14話から最終回まで放送しています。この作品も、説明不要と言えるほどの人気作でした。
そして、『サザエさん』の前番組になるのが、1969年4月6日から9月28日まで放送されていた『忍風カムイ外伝』です。本来は1年の予定でしたが作風が暗かったことで視聴率が伸び悩み、急きょ、時間枠が決まらなかった『サザエさん』が放送されることになりました。
実は本来なら『忍風カムイ外伝』の後番組は、同じ白土三平先生の忍者マンガ『ワタリ』が企画されていて、パイロットフィルムも作られていたそうです。もしも、この時に少しでも運命が変わっていれば、『サザエさん』は別の時間枠で放送されていたことでしょう。
この流れを見ると仮説になりますが、フジが子供をターゲットに、この時間枠で高い視聴率を取ることに固執していたように思えます。そのため、人気アニメをこの時間に集中させていたような戦略に見えませんか? 結果的にフジの戦略は当たり、日曜18時30分はフジの鉄板枠となりました。しかし、当然、他局もさまざまな子供向け番組を『サザエさん』にぶつけてきたわけです。
子供向け番組で『サザエさん』に最初の刺客がやって来たのは1971年のことでした。放送2年目で、今ではおなじみとなったオープニングの最後でサザエ、カツオ、ワカメ、タマが果物や野菜のなかから登場するシーンが初めて使用されたころだったそうです。
その一番手が、奇しくもフジでのアニメ枠最初の作品だった『リボンの騎士』を手がけた手塚先生が同じく原作を担当した『ふしぎなメルモ』でした。TBSで1971年10月3日から1972年3月26日まで放送されています。作品的には再放送も多く、声優陣を一新したリニューアル版も作られたこともあり、後年にも広く知られた作品となりました。
そして、日本テレビ系列が『サザエさん』にぶつけてきた作品が、特撮ヒーロー番組『ファイヤーマン』。円谷プロ創立10周年記念番組として鳴り物入りで始まりましたが、視聴率で苦戦したために1973年1月7日から3月25日という短い期間だけで、以降は火曜日19時に移動しました。
この日本テレビが、もっとも『サザエさん』に子供向け番組をぶつけてきたTV局だったのです。もともと日本テレビのこの時間枠は人気バラエティ『シャボン玉ホリデー』が1961年6月4日から1972年10月1日まで放送され、高い視聴率を維持してきました。それが理由かはわかりませんが、『サザエさん』に対抗してさまざまな子供向け番組が裏番組として放送されています。
まずは1976年10月3日から放送された『円盤戦争バンキッド』、続いて『小さなスーパーマン ガンバロン』という特撮ヒーロー番組が続きました。その次からアニメ枠となり、『家なき子』、『宝島』と、ジャンルの違う作品に切り替わっていきます。
どの作品も見た人の心に残る作品でしたが、それでも『サザエさん』の牙城は崩せません。ここで日本テレビも子供向け番組を『サザエさん』にぶつけることをあきらめ、1979年4月8日から『独占!スポーツ情報』というスポーツニュース番組にシフトして、これが2000年9月24日まで続きました。
全文はこちら
https://magmix.jp/post/96035
続きを読む