日本の賃金は30年間停滞、OECDで22位 6年前に韓国が追い越し…差が広がる 非正規職拡大・労働生産性低下 労働組合の組織率が16.7%に低下したのも一因
日本では、31日に衆議院選が予定されているなか、30年間足踏みしている賃金問題が大きな争点になっている。日本は世界第3位の規模の経済大国だが、平均賃金は経済協力開発機構(OECD)の加盟35カ国中22位で、下位圏に留まっている。差が大きかった韓国にも追い越された状態だ。朝日新聞は20日、「安倍政権が始めた経済政策アベノミクスも流れはほとんど変えられず、1990年代初めのバブル崩壊以来の『失われた30年』とも呼ばれる低迷が続いている」と報道した。
OECDの資料を円基準(1ドル110円で換算)で見ると、昨年の日本の平均賃金は、物価水準を考慮した購買力平価基準で年間424万円と算出された。1990年は英国やフランスより賃金が高い水準だったが、30年間に4.4%程度増えるのに留まり、22位にまで下落した。日本の賃金は事実上ほとんど上がらなかった。米国が1990年に比べ30年間で339万円増えた一方で、日本は18万円しか増えなかった。2015年からは韓国よりも低くなり、昨年は38万円まで差が生じた。同紙は「(賃金を)海外と比べると、さらにぎょっとする」とし、「先進国でも平均以下となり、差が大きかったお隣の韓国にも追い越された」と指摘した。
日本の平均賃金が上がらなかったのには、非正規職の拡大が影響した。日本企業は、賃金が安く解雇が容易な非正規労働者を増やしてきた。1990年の全賃金労働者のうち20%だった非正規職は、現在は37.2%まで増加した。日本の国税庁の資料(2019年基準)によると、非正規労働者の年収は175万円で、正規職(503万円)の半分にも満たない。人件費が安い非正規職の割合が増え、全体の平均賃金が低くなったのだ。
主要国の平均賃金(年収)の推移。資料:朝日新聞、OECD。縦軸は円。右側に記載の国名は上から米国、ドイツ、英国、フランス、韓国、日本//ハンギョレ新聞社
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労働生産性の下落も賃上げを妨げる要因として作用した。2019年基準の日本の1人あたりの労働生産性は、主要37カ国中26位となった。日本の看板産業である自動車などの製造業でさえ、2018年は16位にまで下がった。しっかり支える柱の役目を果たした中小企業も、1人あたりの労働生産性は、2003年以降ほとんど変わらない。
1990年代の日本の「バブル崩壊」により生じた企業の慣行も、賃金の上昇を抑えている。バブル崩壊当時、日本企業は大規模な解雇と賃金カットにより社会的な批判を受けた。これを教訓にして、企業は実績が良くても賃金をそのまま維持し、代わりに危機の際の解雇や賃金カットを自制する方法で管理しているということだ。慶応大学の山本勲教授は、同紙のインタビューで「今回のコロナによって、将来何が起こるかわからないという不安はさらに高まった」と語った。
労働組合も賃上げより雇用維持を優先し、全般的に力が弱まった。1980年代は30%台を維持した労働組合の組織率は、2019年には16.7%まで下がった。年俸制が普遍化した米国などと異なり、日本では個人が賃上げを要求できる企業環境もない。朝日新聞は「『賃金は上がるもの』という土壌づくりとともに、生産性の向上や労使関係のあり方の抜本的な見直しなど、様々な手を組み合わせなければ、世界との差はいつまでも縮まらない」と見通した。 東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
登録:2021-10-20 22:35 修正:2021-10-21 06:47 https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1015913.html 韓国語原文入力:2021-10-20 19:29 訳M.S
http://japan.hani.co.kr/arti/international/41449.html