【北京=三塚聖平】巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手、中国恒大(こうだい)集団が、債務不履行(デフォルト)回避へ保有資産の切り売りを急いでいる。創業者の豪邸を抵当に入れたほか、美術品やプライベートジェット機の売却も伝えられる。6月末時点で1兆9665億元(約35兆円)という負債総額からすると焼け石に水と指摘され、デフォルトはすんでのところで免れているが綱渡りの資金繰りが続く。
ロイター通信は16日、創業者の許家印(きょかいん)氏の指示で同社が美術品などの売却を進めているという関係筋の情報を報じた。許氏は、美術品や書道作品、観賞用のコイに熱中しており、これまでに数千万元を支払っているという。
香港メディアの「香港01」は10日、許氏が香港の豪邸を日本の金融サービス大手「オリックス」の抵当に入れたと報道。香港の高級住宅地である山頂(ピーク)にある物件で、市場価値は8億香港ドル(約117億円)になるという。
米ブルームバーグ通信は10月下旬、中国当局が債務削減のために個人資産を使うよう許氏に求めたと伝えた。ブリンケン米国務長官が10月上旬、恒大問題の悪影響が世界経済全体に波及しないよう「責任ある行動」を中国政府に求めたこともあり、中国当局は許氏や恒大への圧力を強めているとみられる。
また、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、恒大は自社所有のプライベートジェット機2機の売却を10月に終え、5千万ドル(約57億円)余りを調達。許氏ら同社幹部が国内外を移動するのに使っていたものとみられる。
恒大は事業売却も進めているものの、順調ではないもようだ。10月には傘下の不動産管理会社「恒大物業集団」の株式売却交渉を打ち切ったと発表。売却額は約200億香港ドルを想定していた。
今月11日には、未払いとなっていた米ドル建て社債の利払いを行ったと伝えられた。米メディアによると、利払いの額は1億4800万ドルで、デフォルトの危機を再び瀬戸際で回避した形だ。
ただ、年末にかけて別の社債の利払いが予定されており、来年には多額の資金を必要とする元本償還も待ち構えている。本業の不動産市場も、中国政府による不動産バブルの抑制策で冷え込みが伝えられており、恒大の経営は予断を許さない状況が続く。
Yahoo!Japanニュース/産経新聞 11/16(火) 15:52配信
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