「貯蓄100万円未満」の年収1000万円層が昨年から倍増
金融広報中央委員会が毎年発表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」では、収入階級別の金融資産保有額が記されている。
これによると、2021年における年収1000~1200万円世帯のうち、4.5%が貯蓄100万円未満の世帯であることが分かった。全体に占める貯蓄100万円未満世帯の割合は、1200万円以上の世帯に次いで低い水準となっているが、特筆すべきはその増加率である。
20年との比較で考えると、年収1000~1200万円世帯における“高所得貧乏”の増加は顕著である。20年の貯蓄100万円未満世帯は2.1%で、足元の4.5%と比較すると、その伸び率は前年比で114%以上にもなる。
この結果は、前年比129.4%の伸びを見せた年収300万円未満の世帯に次いで、貯蓄100万円未満の世帯数が増加していることを示している。絶対的な金額でいえば年収300万円よりも1000万円ある方が豊かな暮らしができそうだが、なぜ世帯年収1000万円の世帯層で“高所得貧乏”が増えてしまっているのだろうか。
その理由は政府による所得制限つきの給付や、税負担が大きいことも要因となっていると考えられるが、大多数は高所得貧乏に陥らずに貯蓄ができていることを確認しておきたい。年収1000万円以上1200万円未満の2人以上世帯でも、80%以上の世帯で500万円以上、60%以上の世帯で1000万円以上の貯蓄を持っていることから、国の制度以外にも高所得貧乏に陥る要因がある。
結論からいえば、高所得貧乏に陥る家庭には「お金の使い方」に問題がある可能性が高い。
年収1000万円で区内マンションは買えない?
上記では国の制度について触れたが、その最大の要因は、「住宅」にあるのかもしれない。21年度の東京23区内の新築マンション平均価格は過去最高の8449万円を記録した。この水準は1980年代のバブル景気を超えるものだ。首都圏の新築マンションの平均価格も6360万円まで高騰し、こちらも過去最高となった。
住宅を購入する際に自分がいくらまでの物件であれば無理なく購入できるかをはかる指標として、「年収倍率」というものがある。これは物件価格を世帯年収で割った値から算出するもので、基本的には「4倍」が余裕ある返済計画を立てられる相場だといわれている。
しかし、近年では住宅ローンの借入可能額を年収の7~10倍で設定する例も増加している。<一部抜粋>
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https://www.sankei.com/article/20220521-LGHDL7ECSRPS3A4LRHSX2SJTEU/