風力発電の風車、ミサイル探知に影響の恐れ
全国で増加する風力発電の風車が航空自衛隊のレーダーに影響を及ぼす懸念が浮上し、防衛省が対応に苦慮している。敵の戦闘機やミサイルの探知が遅れるなど深刻な問題が起きる恐れもある。現状では発電事業者に計画段階での事前相談を呼びかけているが、善意の協力には限界があり、安全保障上の脅威になりかねないとの指摘もある。
レーダーは電波を発射し、反射波をとらえることで状況を把握する。航空自衛隊は全国28カ所に警戒管制レーダーを設置し、日本領空への飛来物に24時間態勢で目を光らせている。
一方、再生可能エネルギー推進策として固定価格買い取り制度(FIT)が導入された平成24年以降、風力発電の風車設置数が急増した。全国の設置数は昨年末時点で2574基。陸上では高さ100メートル以上、洋上では200メートル以上になる。
そのため、風車のブレード(羽根)がレーダー電波を反射し、探知しにくくなったり、風車との接触を避けるために航空機がルート変更を余儀なくされたりする可能性が浮上。風車の高さによっては100キロ先のレーダーに影響が出ることも判明した。この問題に詳しい自民党の小野寺五典元防衛相は「日本の空を守っている自衛隊のレーダーが、風車によって(探知に)誤差ができる。実は大変なマイナスになる」と警鐘を鳴らす。
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