筆者が現場で出会ったドラマプロダクションの関係者たちの話を総合すると、新型コロナパンデミック以後制作費が急騰したことと、放送局およびOTTの収益性悪化によってドラマ編成枠が激減したことで、韓国ドラマ界は大きな危機に直面しているという。
・制作費が膨れ上がる仕組み
製作費の急騰に最も大きな影響を及ぼしているのは俳優たちのギャラだ。「韓国の文春砲」と呼ばれている芸能専門媒体「ディスパッチ」は最近、『イカゲーム』で世界的な俳優になったイ・ジョンジェが『イカゲーム2』の出演料として1話あたり100万ドル(約1億4千万円)を要求したと報じ、業界を驚愕させた。
実際、業界の話を聞いてみると、韓流スターの場合は1話当たりの出演料が5億ウォン(約5千5百万円)を超えるケースも珍しくなく、トップ女優のギャラも1話当たり2億ウォンを超えるそうだ。
結局、S級の俳優たちとスタッフをキャスティングする場合、彼らの出演料とスタッフのギャラを合わせれば1話当たり10億ウォンを簡単に超えてしまう。制作費が上がらざるを得ない仕組みなのだ。<中略>
・K-POPの世界戦略をお手本に
一方で、製作環境が悪化した韓国に代わる海外市場を模索する動きも活発化している。現地スタッフと俳優を起用して現地ドラマを製作し、ネットフリックスなどのグローバルOTTに販売するという戦略で、その初の試験市場は日本になる見通しだ。
『愛の不時着』の製作会社として知られる「スタジオ・ドラゴン」とCJ ENMは、日本の「ライン・デジタル・フロンティア」と共に日本法人を設立し、ライン・デジタル・フロンティアが保有しているウェブトゥーン(デジタルコミック)のIPを日本ドラマで製作する計画だ。
『梨泰院クラス』を製作・放映したJTBCでも日本スタジオの設立作業が進んでいる。JTBCは自社IPに限らず、日本の実力ある作家と監督の作品を発掘する計画だ。日本の作家と監督、そして俳優を起用してドラマを制作し、OTTに供給する計画を持っている。
このような試みに対し、ドラマ制作会社は次のように評価する。
「‘韓国ドラマの生態系はすでに死んだ’という評価が出ているほど現状が深刻なため、海外市場の発掘はドラマ界にとって重要な課題となっている。日本の場合、テレビドラマだと製作委員会を設立するなど、海外製作会社の立場ではハードルが高いが、OTTはそのような慣行がないため、韓国のドラマ制作ノウハウを発揮すれば日本の現地企業とも競争できるものと見られる。
日本の他にも、韓国ドラマに対する評価・関心が高い台湾やタイも候補地に上がっている。『カカオ・ウェブトゥーン』はすでに自社IPを使用したドラマを現地制作会社と協業の下で製作し、世界販売に乗り出していると聞いている」
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