ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、避難者の輸送や物資輸送で大活躍するウクライナ鉄道ですが、5月24日に驚きのプランが飛び出しました。このプランはウクライナはもちろん周辺諸国の鉄道にも影響を及ぼすことでしょう。
■ ウクライナ鉄道がヨーロッパ仕様の線路を建設
5月27日付「レールウェイ・ガゼット・インターナショナル」によりますと、ウクライナのシュミハリ首相はヨーロッパ仕様の線路建設を発表しました。具体的には多くのEU諸国が採用する線路幅1435mmの線路を段階的に建設するとのこと。最初は都市~鉄道主要拠点間からはじまり、その後徐々に全国に広げるとしています。もちろん国境越えの路線も1435mmで整備します。
このプランの背景にはロシアによる黒海封鎖が挙げられます。6月7日現在、ロシア軍はウクライナ南部のマリウポリなどのアゾフ海沿いの諸都市を占領し、港を接収。ウクライナは黒海を通じて穀物を輸出したいところですが、ロシアにより安全な航行が難しい状況が続いています。そのため鉄道などの陸上輸送の強化が急務です。
現在ウクライナとEU諸国とは線路幅が異なるため、多大なコストが発生しています。新線路建設によりスムーズな輸送が期待できます。<中略>
■ モルドバが離れ小島になる?
コロナ禍前のモルドバ鉄道はモルドバの首都キシナウ(キシニョフ)~モスクワ、サンクトペテルブルク間を結ぶ列車を設定していました。モルドバとロシアは直接国境を接しないため、いずれもウクライナを通ります。
気は早いですが、もしウクライナの主要都市間を結ぶ路線が線路幅1435mmで建設されると、線路幅1520mmのモルドバは周りを1435mmで囲まれた離れ小島のような立場に。
つまりキシナウ~ロシア間の列車だと、モルドバ・ウクライナ国境、ウクライナ・ロシア国境での台車交換が必要になります。
車輪の幅が自動的に変えられるフリーゲージトレイン、車輪幅が自動的に変更可能な地上設備の導入といった解決策は考えられます。しかし昨年、財政難により全線休止というニュースが飛び交ったモルドバ鉄道が独力で大規模設備を導入するのは難しく、他国からの援助が必須と思われます。
モルドバもウクライナにならって1435mm線路を建設することも一案ですが、これも全国的に事がスムーズに進むとは思えません。モルドバには事実上独立している未承認国家「沿ドニエストル共和国」があり、幹線のキシナウ~オデーサ(オデッサ)線は同国を通ります。
「沿ドニエストル共和国」の鉄道は2004年にモルドバ鉄道から分離独立した国営「沿ドニエストル共和国鉄道」が担います。「沿ドニエストル共和国」はロシアとの結びつきが強いため、ヨーロッパ標準1435mmをすんなり採用するとは思えません。
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/48f0a49fb71de1b158880f82e4db395a7921c679
続きを読む