ソフトバンクGは昨年9月、保有するアームの全株式を最大400億ドル(約4兆5000億円)で米半導体メーカーのエヌビディアに売却すると発表。英政府は、安全保障の見地から調査するよう英競争・市場庁(CMA)に指示していた。
エヌビディアへの売却が白紙になれば、新規株式公開(IPO)など市場での売却が有力になる。
株式調査のライトストリーム・リサーチのアナリスト、加藤ミオ氏は「最も現実的な選択肢はIPOだ」と指摘。「われわれは当初から取引はおそらく成立しないだろうと言ってきた。エヌビディアがアームに支払ったライセンス料は、取引が成立しない場合のバックアップ計画だと勘繰っていた」という。
●日本政府乗り出す奇策も
アシストの平井社長は、IPOの可能性はあるが、上場前に株主構成を決めるなど各国や企業の思惑が絡む中での調整は難しいともみている。その上で、日本政府が経済産業省所管のファンド、産業革新投資機構(JIC)を使ってアーム買収に乗り出す可能性にも言及。奇策だが、日本は遅れた半導体技術を一気に買収できるチャンスであり、「4兆円で買えるなら安い」と話した。
ソフトバンクGはブルームバーグの取材に対し、アーム売却を巡る米FTCの動きなどについてノーコメントとしている。
□政府、日本企業の半導体売上高2030年に13兆円へ-20年比で約3倍に – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-11-15/R2LCR9DWLU6801