つい先日、暴力団組長宅からロレックスなどを盗んだ窃盗団が逮捕されたことが報じられた。ヤクザの親分宅に窃盗目的で押し入ること自体あまり例がないこともあって、関係者の間で話題となった。その経緯について詳しくお伝えする。
19日午後、「独自」記事として事件を配信したのは産経新聞。その記事の概要を紹介しておこう。
・近畿や東海の6府県で窃盗を繰り返したとして、兵庫県警捜査3課は、無職の男ら3人を逮捕した。
・今年3~6月、55~62歳の男らで構成された窃盗団は車上狙いや自動車そのものの盗み、空き巣などを繰り返した。被害は約70件、約1700万円に上る。
・6代目山口組系の組長宅にも侵入。現金約130万円と腕時計「ロレックス・デイトジャスト」(時価約500万円相当)などを盗んだ。
◼まともに仕事をして稼いだ金でない
「事件化したきっかけは、窃盗団が大津市内の月極駐車場で駐車中のクルマを盗んだことだったようです。兵庫県警が余罪を追及していく中で、約70件が露見していったということでしょう」
と、社会部記者。世間を震撼させたルフィ事件のような特殊詐欺でなく、より罪が重い強盗でもないのに関係者の間で話題となったのは、被害者の中に暴力団組長がいることだった。
「窃盗団に暴力団員はいなかったようですが、知り合いから“あの家には高価なものがある”という情報が入っていた可能性はありますね。
ヤクザの家というのは“それっぽい人たち”が出入りしていることもあって、割とわかりやすい。だからと言って普通は狙って忍び込もうとは思わないでしょうが」(同)
暴力団組長をターゲットにしたことについて、窃盗団の1人は、「まともに仕事をして稼いだ金でないのだから盗んでもいいだろうと考えた」との供述をしているとされる。
◼6代目山口組の3次団体
被害にあった組長がトップを務めるのはどういう組織なのだろうか。
「6代目山口組の3次団体で三重県に本部を置いています。上部団体の直参組織も本部は三重県にあり、組長は6代目山口組の幹部を務めています。盗まれたロレックスは姐さんの所持品だと聞きました」
と、竹垣悟氏(「五仁會」代表で、元山口組系「義竜会」会長)。姐さんのロレックス・デイトジャストは、「ダイヤモンドなどを散りばめたモデル」と見られている。
「普通、暴力団組長側から被害の申告があるとは思えないので、県警が余罪を追及する中で、窃盗団が組長宅への侵入を供述して判明したと見るのが自然でしょう。周辺のカメラ映像をおさえると同時にロレックスを質入れした質店からも話を聞いたうえで、暴力団組長や所有者の姐さんにも事情を聴いたものと推察されます」(先の記者)
◼捜査当局の説得
「今回の被害総額は約1700万円に上るとされ、暴力団組長側の被害額は現金と合わせるとその4割弱を占めていることになります。当局としては被害事実を把握している以上、立件すべきと考えるのが普通。暴力団組長側に被害届の提出や供述を求めたと見られます」(同)
こういうケースで暴力団組長側が被害届を提出というのもあまり例がないことだという。
「メンツの問題もありますから、そう簡単に警察の求めに応じるとは思えないですよね。もしかしたら、“窃盗団は動機として、まともに仕事をして稼いだ金でないのだから盗んでもいいなんて言っているぞ”と伝えて説得したのかもしれません。“真っ当な金なら堂々と主張すべきではないか。窃盗団のお陰で泣きを見ている人たちも多少は救われるはずだ”などと畳みかけた可能性もありますね」(同)
当然ながら窃盗団もまた「まともに仕事して稼いでいる」わけではないのである。
https://news.yahoo.co.jp/articles/700366c185d44f4e5ef3a35bd50ee43635413a39
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