「サブスク疲れ」や「サブスク貧乏」といった言葉が広がっている。新型コロナウイルス下で定額・使い放題のサブスクリプション契約を増やしたものの、サービスを使い切れなかったり出費がかさんだりする人が多いためだ。日本経済新聞が1000万人規模のデータを分析すると、利用者がシビアに契約を選別する姿が浮かび上がってきた。
契約・解約、繰り返し
都内に勤める会社員男性(30)は昨春、カーレースのF1を見るため動画配信サービスのDAZN(ダゾーン)に加入した。レースがないオフシーズンに解約すると、その後は複数のサービスの契約・解約を繰り返す。「1カ月見なかったら解約」といったルールを決め「サブスク貧乏」にならないよう気をつける。
米動画配信大手ネットフリックスの会員数が減少に転じるなど、サブスクに異変が起きている。日経新聞はダウンロード数1000万超の家計簿アプリ「Zaim」の運営会社からデータ提供を受け、匿名性を確保することを条件に分析を進めた。
判明したのはサブスクユーザーの減少だ。約70種類のオンライン定額課金サービスに1つでも支出するユーザー数を調べると、コロナ下の「巣ごもり消費」が増え始めた2020年3月ごろから急増。同年10月には1月の1.5倍まで増えた。このあたりから減少に転じ足元ではピーク時の約3割減の水準でコロナ前の1.1倍まで逆戻りした。Zaimの星先瞳氏は「ユーザーが増え始めたころは単月など短い契約が多かった。試しに使ってみた初心者のライトユーザーが徐々に離脱していったとみられる」と話す。
1人あたり契約、昨秋から減少
三井住友カードからもデータ提供を受けた。1000万人以上のカード会員が使う動画や音楽、書籍、ニュースなど100種類以上のコンテンツ系サービスを分析すると、1人あたり契約件数が21年秋ごろから減少していた。デルタ型の流行が一段落した時期で、消費者がリアルの消費に戻る影響が出たとみられる。
特に減少幅が大きいのは20~30代だ。「安価な複数のサービスを組み合わせて使う」(三井住友カードデータ戦略部の堀郁哉氏)若い層はコロナ下で増やした契約を減らす反動も大きく、足元の契約数はコロナ前を下回っている。
リアルの消費が広がるとサブスクに割く時間は減る。調査会社インテージの山津貴之氏は「膨大なコンテンツから見たい動画を選んで長時間視聴することに疲れてきた人も多いようだ」と指摘する。
シニア層、課金額高く
もっともサブスクの減少傾向がこのまま続くわけではなさそうだ。Zaimの星先氏は「21年の後半以降は長期契約に切り替えるユーザーが増えている」とみる。「一定の離脱が進む一方、利用頻度が高いと思われるコアなユーザーは定着する」(三井住友カードの堀氏)構図だ。
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https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00002010S2A800C2000000/
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