■巨大コウノトリ、新発見の骨を分析
インドネシア東部にあるフローレス島ではかつて「ホビット」サイズの人類と巨大な鳥が共存していた。6万年以上前にこの島で暮らしていた身長1メートルに満たないフローレス原人(ホモ・フロレシエンシス)にとって、高さ1.5メートル以上あった氷河時代の巨大コウノトリ、レプトプティロス・ロブスタス(Leptoptilos robustus)は見上げるような大きさだったはずだ。
フローレス島の巨大コウノトリは、孤島の生態系に適応した飛べない鳥だと考えられてきた。しかし、翼の骨を含む新たな化石を分析したところ、この定説は覆された。巨体にもかかわらず、広げた幅が約3.6メートルもある翼を使って空を飛べたようだ。この論文は7月13日付けで学術誌「Royal Society Open Science」に発表された。
今回の新たな発見によって、フローレス島のコウノトリの体の構造や行動についても従来説が再考を迫られた。かつては小動物を捕って食べていたと考えられていたが、太古の空を飛んでいた他のコウノトリや、現在もアフリカのサハラ砂漠以南で暮らすアフリカハゲコウ(Leptoptilos crumenifer)と同じく草食動物の死骸を食べる腐肉食動物だったと示唆されたのだ。しかも、腐肉食動物だったことが理由で、フローレス島のコウノトリが最終的に絶滅した可能性もある。
フローレス島には、体高1.2メートルほどのゾウの仲間で今は絶滅したステゴドンも暮らしていた。「巨大コウノトリの主な食べ物はステゴドンでした」とノルウェー、ベルゲン大学の古生物学者で論文の筆頭著者であるハンネケ・メイエル氏は言う。餌がない限りコウノトリは立ち入らないと思われる洞窟の中で、ステゴドンの骨とコウノトリの骨が一緒に発見されているからだ。
ステゴドンが絶滅したときにフローレス島のコウノトリも絶滅したのではないかと、メイエル氏らは考えている。コモドオオトカゲをはじめ、フローレス島で哺乳類を食べていた他の動物は別の地域で生き延びている。しかし巨大コウノトリは、氷河時代末期に始まった温暖化によってフローレス島の環境が大きく変わったのとほぼ同時期に絶滅している。「ステゴドンの絶滅によって、島の生態系が崩壊したからではないかと推測しています」とメイエル氏は言う。
今回、巨大コウノトリに関する新説が生まれたのは、翼の部分も含む21本の骨がフローレス島のリアンブア洞窟で発見されたからだ。この洞窟は、ステゴドンなどの動物にとって水場であり、暑さをしのぐ場所だったと考えられる。ならば肉食動物にとっては楽に狩りができる格好の餌場だったに違いない。コモドオオトカゲやフローレス原人の食べ残しを狙って洞窟に入ってきたコウノトリが、そのまま死んで化石となり、数万年後に科学者が掘り出すまで保存されていたのだろう。
※続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/8a3f5858ebd05e8b2bdc7c52b263e82a2edf11b8