「中国スパイ気球」ミサイルで撃墜がベストだったワケ ステルス戦闘機F-22初戦果1発0.5億円
撃墜時に中国の偵察用気球が飛んでいた高さは、6万~6万5000フィート(約1万8000~1万9500m)という高高度でした。これは旅客機などの一般的な航空機が飛ぶ高度、おおむね3万~4万フィート(9000~1万2000m)よりも高く、戦闘機であっても簡単に行くことができない位置です。
アメリカ空軍が運用する戦闘機のなかで、今回のような飛行目標を攻撃できる機体はF-16「ファイティングファルコン」、F-35A「ライトニングII」、F-15C「イーグル」、F-22「ラプター」の4機種ありますが、この中でスペック上の数値で高度6万フィート(約1万8000m)以上まで上昇できるのは、エンジンを2つ搭載したF-15とF-22のみとなります。<中略>
F-22「ラプター」には、より安価な20mm機関砲が装備されているため、これを使ったほうが「より低コストに気球を撃墜できたはずでは?」と考える方も多いでしょう。
しかし、気球への機銃攻撃は簡単ではなく、実際に行って失敗した例もあります。1998年にカナダ空軍のF/A-18「ホーネット」(同国ではCF-188と呼称)が制御不能となった気象観測用気球の撃墜を試みましたが、2機で1000発以上の射撃を行ったにも関わらず、その場で完全撃墜することができませんでした。
撃墜失敗の理由のひとつは、気球と戦闘機の速度差がありすぎたためです。戦闘機は高速で飛びますが、気球は風に流されるだけで速度は低く、戦闘機から見れば止まっているのと、ほぼ同じ状態です。速度差がありすぎるため逆に照準が難しく、気球が大きすぎるため、接近しすぎると空中衝突する危険性までありました。また、機銃弾自体が気球に対して効果が薄く、命中しても表面に穴が開いてガスが抜けるだけで気球自体を直接破壊することができなかったのです。
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