ただし、世界の女子フットボールの盟主であるアメリカとその隣国カナダ(2020年東京五輪で優勝)には、すでに2026年までの男子W杯大会と抱き合わせで今年の女子W杯の放映権を販売していた。それゆえFIFAは欧州主要国と日本から可能な限りのテレビ放映権料を取り立てることを目論んだ。
ところが、欧州主要国のテレビ局との交渉で支払い希望額を提示されたFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、強い不満を表明。「女子W杯の視聴率は、男子の50~60%に達する。にもかかわらず、欧州から提示された金額は男子の1/20から1/100程度でしかなかった」と憤った。「我々は女子フットボールの価値に見合う適正な金額の支払いを求める。そのことが、女子フットボールの地位向上にもつながる」と息まいた。今年5月には、「このままでは欧州の人々は女子W杯を一切、テレビで視聴できなくなる」と“脅迫”した。
翌14日、NHKは具体的な放送予定を発表。20日の開幕戦(ニュージーランド対ノルウェー)、グループステージ(GS)の日本代表の3試合(22日ザンビア戦、26日コスタリカ戦、31日スペイン戦)、日本代表が決勝トーナメントに進出した場合のすべての試合と8月20日の決勝を主としてBS1(31日のスペイン戦だけNHK総合)で生中継するという。さらにFIFAは自身のデジタルプラットフォーム「FIFA+」で全試合とそのハイライト映像を日本語の実況、解説付きで配信すると発表した。
欧州放送連合(EBU)とFIFAは交渉を重ね、6月14日に合意した。金額は公表されていないが、EBUは女子W杯中継の“付帯条件”として、少なくとも毎週1時間、女子フットボールに関する番組を放送することを提案。これによって、FIFAから一定の譲歩を引き出すことに成功した模様だ。
こうして、主要国のうちテレビ中継が決まっていないのは日本だけとなった。
日本のテレビ局に対し、FIFAは昨年の男子W杯のテレビ放映権料の約1/3に相当する116億円を求めたとされる。しかし、これは日本のテレビ局が簡単に支払える金額ではない。NHKがFIFAと交渉を繰り返した結果、開幕1週間前、ようやくFIFAとの合意にこぎつけた。
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https://number.bunshun.jp/articles/-/858134
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