2022年がスタートしたが、テレビ業界の新年の番組には新しい傾向が見られる。年が明けてすぐにしか放送されない正月番組がほぼ消滅してしまったのだ。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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「正月三が日」という言葉は、古くから現在まで使われており、実際に休みの企業や団体が多い中、テレビ番組だけは、その意味合いに変化が見られます。その変化とは、年に一度、正月三が日に放送される正月番組がほぼ消滅してしまったこと。<中略>
また、3日に目を向けても、『1億人の大質問!?笑ってコラえて4時間SP』(日本テレビ系)、『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 新春SP』(テレビ朝日系)、『冒険少年 新春!超・脱出島SP』(TBS系)、『VS魂 2022超豪華新春3時間スペシャル』(フジテレビ系)などレギュラー番組の特番がズラリ。3日夜で早くも、「ほぼ通常改編期レベルの番組表に戻った」という状態なのです。
なぜテレビの華だった正月番組は、「事実上ゼロ」の状態になってしまったのでしょうか。
やはり理由に挙げられるのは、制作費と視聴率の問題。まず制作費は、「正月特番にふさわしいセット、キャスト、衣装、豪華プレゼントなどを手がける予算がない」「コロナ禍でますます厳しくなってしまった」という問題があります。一方、レギュラー番組の特番なら既存のセットなどをベースにできる上に、「固定ファンがいるため視聴率で大コケしない」というリスクヘッジが可能。
さらに、2010年代は新たな正月特番がことごとく失敗に終わったこと、正月特番用のスタッフを確保するのが難しくなったこと、「お金と人をかけるなら年内の視聴率を追い込むために年末特番のほうがいい」という意識があることなどもあり、業界内には「回避するのがベター」というムードが漂っているのです。
また、前述した『格付け』『スポーツ王』は、正月三が日だけの放送でしたが、高視聴率を記録したことで放送回数を増やし、「年に一度」「正月だけ」というプレミア感をテレビ局が自ら消してしまいました。
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https://www.news-postseven.com/archives/20220101_1717593.html
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