市場飽和で「曲がり角」を迎えつつあるコンビニエンスストア業界でより深刻な問題が浮上してきた。絶対王者のセブン-イレブンの「稼ぎ頭」に変調の兆しが出ているのだ。
2021年はコンビニエンスストア業界の試練の年だった。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初、生活インフラとして営業が許され、他の小売業と比べダメージが少ない“勝ち組”だったコンビニ。
それが、スーパーやドラッグストアが特需に沸く一方で、コンビニは「独り負け」を味わっており、22年もその傾向が続く公算だ。
理由の一つは立地だ。コンビニは近年、都市部のオフィス街などの稼げるエリアへの出店を強化してきた。しかし、コロナ禍でその戦略が完全に裏目に出た。外出自粛やリモートワークの普及で、オフィス街などに立地する店舗の需要が“蒸発”したのだ。
爪痕の大きさは1日当たり店舗平均売上高(平均日販)からもうかがえる。コロナ禍前は横ばいで推移してきたコンビニ大手3社の平均日販は21年2月期に急落した。
最大手のセブン-イレブン・ジャパンは64.2万円と前期比1.4万円減にとどめたものの、オフィス街に多く店舗を持つファミリーマートとローソンは大きく下落した。ファミマは49.3万円で前期比3.5万円減、ローソンは48.6万円で同4.9万円減だった。
21年も回復は限定的だ。21年3~8月期の日販はファミマが21年2月期比1.4万円増の50.7万円、ローソンは同1.1万円増の49.7万円とやや復調したものの、コロナ禍前に遠く及ばない。
「生活様式が完全に変わり、オフィス街の需要は戻ってきていない」(ファミマの細見研介社長)と、完全復活の見通しが立たないのだ。
コロナ禍前からコンビニ市場は飽和感が強まっていた。日本フランチャイズチェーン協会によると、20年末の全国のコンビニ店舗数は5万5924店。17年までは、店舗数は毎年数千店規模で増えていたが、ここ数年は5万5000店前後にとどまる。
大量出店で業績を拡大するモデルが「曲がり角」を迎える中で、より深刻な問題も浮上してきた。
それはコンビニビジネスの“優等生”だったセブン-イレブンに顕著に表れている。セブンの右肩上がりの成長を支えてきた「稼ぎ頭」が変調を来しているのだ。
その稼ぎ頭とは何か。
https://diamond.jp/articles/-/291203
続きを読む