日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を上回り、史上最高値の更新も現実のものとなってきた。国際投資アナリストの大原浩氏は、「失われた30年」を経て復活するのは株価だけでなく、日本経済全体も新たな繁栄の時代を迎えると指摘する。緊急寄稿で大原氏は、米国の陰りと日本復活のシナリオを示した。
バブルのピークだった1989年12月29日、日経平均は史上最高値の3万8915円(終値)をつけた。同じ年のニューヨーク市場のダウ工業株30種平均の終値は2753ドルだった。それから33年以上、日経平均はいまだにバブル期の高値を超えていないが、ダウは12倍以上となった。
89年の世界時価総額トップテンにはNTTを筆頭に日本企業が7社ランクインしていたが、直近のデータでは1社も入っていない。米国企業は、アップルを筆頭に9社もランクインしている。
「日本はダメで米国はすごい」と声高に主張する人は、このデータの表面だけを見て得意げな顔をするだろう。
そのような人々は、89年の翌年から日本で何が起こったのかを忘れているとしか言いようがない。平家物語の「盛者必衰」は、歴史を超えた普遍的な真理なのである。
米国では、シリコンバレー銀行など金融機関の破綻・経営危機が相次いだが、これは序章に過ぎない。投資の神様ウォーレン・バフェット氏も金融機関の経営に強い懸念を示している。「米国経済の信じられないような時期」が終わりつつある、と控えめな表現だが、米国に「万年強気」のバフェット氏が、このような弱気な発言をすること自体、問題の深刻さを物語る。
すると、多くの人々が「米国がダメなら日本も…」と思いがちだが、それは間違いである。日本はよく「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されるが、それは「世界の誰もまねができない独自性」を持っているということだ。
それではこれから日本の繁栄を支える具体的な産業は何だろうか。ズバリ、「製造業」が日本を牽引(けんいん)する。
日本の製造業は韓国や中国に追い上げられて駄目になったとの論調が多いが全くの誤りだ。夕刊フジ木曜日連載「バフェットの次の投資術」でも述べてきたが、一部の家電などを除いて圧倒的な競争力を持っている。2019年の韓国に対する「3品目(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)」の輸出管理厳格化という「ジャブ」だけで彼らを震え上がらせたことは記憶に新しい。
半導体製造装置でも東京エレクトロンなど日本企業4社が世界トップテンに入っている。世界的な影響力の大きさから、半導体製造装置23品目を輸出貿易管理対象とする省令を23年7月23日に施行するほどだ。
半導体製造装置の製造に不可欠な工作機械の世界トップテンにもDMG森精機など日本企業が5社入っている。
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